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日本は核の被爆国であり、放射線に何かと過敏です。しかし核はデメリットだけではなく、メリットもあり正しく理解する必要があります。今回は放射壊変について見ていきます。
高校の内容ですが、原子番号が同じで膣量数の異なるものを同位体と言います。その中でも、放射線を放出する性質(放射能)をもつ不安定なものを放射性同位体(ラジオアイソトープ)と言います。
不安定な核種が放射線を放出して、エネルギーの低い別の核種になることを壊変と言います。放射壊変する核種を親核種と言い、エネルギーの低い別の核種のことを娘核種と言います。つまり放射壊変は親核種が放射線を出して娘核種になることとも言えます。
放射壊変には以下のような種類があります。
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質量数の大きな親核種が、陽子と中性子を2個ずつ(Heの原子核)を放出して、娘核種になる放射壊変をα壊変と言います。α壊変によって、原子番号は2減り、質量数は4減ります。
中性子過剰の原子核内の中性子1個が陽子1個に変換されて、陰電子1個を放出する放射壊変をβ−壊変と言います。β−壊変は中性子から陽子になるので、原子番号は1増えて、質量数は変わりません。
陽子過剰な原子核内の陽子1個が中性子1個に変換されて、陽電子1個を放出する放射壊変をβ+壊変と言います。β+壊変は陽子から中性子になるので、原子番号は1減り、質量数は変わりません。
陽子過剰の原子核内の陽子1個が軌道電子1個を取り込んで、中性子1個に変換される放射壊変を軌道電子捕獲(EC;Electron Capture)と言います。軌道電子捕獲は陽子から中性子になるので、β+壊変と同じく、原子番号は1減り、質量数は変化しません。
軌道電子捕獲では、軌道電子を取り込み空の軌道ができます。そこに外側のエネルギーの高い軌道電子が入ることがあり、その差の分のエネルギーにあたるX線を出すことがあります。これを特性X線と呼びます。
α壊変やβ壊変をした直後の励起状態の娘核種は不安定なことがあり、これを安定させるためにγ線を出してさらに安定な娘核種になることがあります。γ放射はγ線が出るだけなので、原子番号は変わらず、質量数も変わりません。
また特にα壊変やβ壊変した直後の励起状態が長引き、ゆっくりとγ線を出しながら安定な娘核種になる場合を核異性体転移と言います。