核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理

核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理

核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理は、ラジオ波を受けて核磁気共鳴を起こすことによります。さらに緩和を起こし、緩和を利用したものがMRIです。

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核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理

前回の旋光度、旋光分散、円偏光二色性では、旋光度測定法などを見ました。今回は、核磁気共鳴スペクトルについて見ていきたいと思います。

 

 

核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理

1H、13C、15N、19F、31Pなどの原子核は、自転(スピン)していることにより、磁場を作り磁石のようにふるまいます。核のスピン状態は核スピンlで表され、核磁気共鳴スペクトル(NMR)において重要な原子である1Hや13Cなどは核スピン1/2をとります。

 

核の自転運動はあらゆる方向に向いていますが、ある強さで方向も一定な磁場の中に置くと、外部磁場に平行方向(低エネルギー状態)と、逆平行方向(高エネルギー)の2方向に配向します。このようにあるエネルギー順位をもって分裂する現象をゼーマン分裂と言い、低エネルギー状態と高エネルギー状態の差をゼーマンエネルギーと言います。

 

 

低エネルギー状態にある核スピンは、ゼーマンエネルギーに相当するエネルギーラジオ波を吸収すると、共鳴を起こし高エネルギー状態へと遷移します。この現象を核磁気共鳴と言います。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、核磁気共鳴スペクトル(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)の原理は、この核磁気共鳴を利用しています。核磁気共鳴スペクトル(NMR)で重要な核は1Hと13Cが重要と言う話をしましたが、1HNMRでは水素の存在状態や結合状態などの情報、13CNMRでは炭素の存在状態や結合状態などの情報が得られます。このように核磁気共鳴スペクトル(NMR)では物質の同定・確認、溶液中の分子立体構造の解析、タンパク質などの高分子物質の立体構造の解析ができます。

 

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核磁気共鳴スペクトル(NMR)とMRI

先ほどの核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理では、ラジオ波を当てて核磁気共鳴を起こし高エネルギー状態になるという話をしました。高エネルギー状態の核スピンは、ゼーマンエネルギーに相当するエネルギーを周囲に与え、もとの低エネルギー状態に戻ります。これを緩和と言います。

 

 

この緩和に必要な時間を緩和時間と呼び、緩和時間を利用した画像診断技術に磁気共鳴画像診断(MRI)があります。

 

次回は、1HNMRスペクトルについて見ていきたいと思います。

 

まとめ

  • 核磁気共鳴スペクトル(NMR)の原理は、ラジオ波を受けて核磁気共鳴を起こすことによる。
  • 核磁気共鳴を起こしたものは緩和を起こし、これを利用したものにMRIがある。

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