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前回の細菌の構造では細菌にどのような器官からなっているのかを見ました。今回は細菌の増殖機構について見ていきたいと思います。
細菌は外部から栄養を取り込んで得たエネルギーを使って、細胞構成成分の合成や遺伝物質の複製を行って、二分裂増殖します。細菌は経時的に増殖量を測定すると以下のようなグラフを描き、以下の4つの時期があります。
このように、誘導期で増殖するパワーを貯めて、対数期で増え、定常期で横ばいとなり、死滅期で減っていくという増殖機構を細菌はしています。
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細菌の増殖スピードに影響を与えるものには以下のようなものがあります。
多くの細菌は中性付近で良く増えますが、一部には酸性環境を好む好酸性菌や、塩基性環境を好む好塩基性菌などがいます。
多くの細菌はヒトの体温に近い30〜37℃で良く増え、これを中温菌と呼びます。しかし水素イオン濃度と同じく、一部には20℃以下の温度を好む低温菌や、50℃以上の温度を好む高温菌などもいます。
細菌が増えるのに、適度な塩濃度を必要とする菌が存在し、それらを好塩菌と呼びます。例えば食中毒で有名な腸炎ビブリオは増殖に3%のNaClの添加を必要とします。そのため食中毒の対策としては水でしっかり食材を洗うと、浸透圧によって破裂して死にます。
増殖するのに常に酸素を必要とするものを好気性菌と言います。好気性菌に対して、酸素存在下では増殖できず発熱や嫌気呼吸によってエネルギーを得るものを嫌気性菌と言います。例えば、嫌気性菌には食中毒で問題となる、ボツリヌス菌やウェルシュ菌があります。その他にも、酸素存在下では好気呼吸、酸素非存在下では発酵や嫌気呼吸によりエネルギーを得る通性嫌気性菌などがあります。