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前回の血液系、赤血球、白血球、血小板では血液について見ました。今回はエイコサノイドについて見ていきます。
オータコイドは生理的にあるいは病態的に出現する生体内活性物質で、微量で生理活性を示します。今まで神経伝達物質やホルモンなどを見てきましたが、オータコイドも似たようなイメージで別名、局所ホルモンとも言われます。神経伝達物質は作用範囲が狭く局所的で、すぐに消失してしまいます。それに対して、ホルモンは作用範囲は広く全身的で、消失には時間がかかります。オータコイドはちょうど神経伝達物質とホルモンの間のようなイメージです。
オータコイドには、ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、アンギオテンシン、エイコサノイドなどがあり、今回はそのうちエイコサノイドについて見ていきます。
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エイコサノイドは、炭素数20の不飽和脂肪酸(エイコサエン酸)から作られる生理活性物質の総称です。エイコサノイドは刺激などによって細胞外に出てきて、その細胞自体もしくは近くの細胞に作用して様々な作用を示します。
エイコサエン酸にはアラキドン酸などがあり、ここではアラキドン酸からの生合成を見てみましょう。食べ物から摂取されたアラキドン酸は細胞膜のグリセロリン脂質の構成成分として存在します。細胞膜にあるアラキドン酸はホスホリパーゼA2によって切り出されて、2つの経路からエイコサノイドを作ります。
アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)により、プロスタグランジンG2が作られ、そこからさらに派生してプロスタグランジン類(PG)やトロンボキサン類(TX)を作ります。プロスタグランジンは炎症などに関わるほか、腎血流量増加作用や、胃酸分泌抑制作用、粘液分泌促進作用も示します。
COXにはいくつか種類があって、COX-1とCOX-2と呼ばれます。COX-1は体のあらゆる組織に存在しますが、COX-2は炎症などにより酵素活性が上昇します。そのため、COX-2を選択的に阻害できるNSAIDsは胃腸障害や腎障害が少ないとされています。
シクロオキシゲナーゼ経路を理解することで、NSAIDsの理解につながります。
リポキシゲナーゼ経路では、アラキドン酸が5-リポキシゲナーゼにより、5-ヒドロペルオキシ酸が作られ、そこからさらに派生してロイコトリエン類が作られます。
ロイコトリエンは気管支収縮作用などがあり、気管支喘息治療薬などに関わります。