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前回のグラム染色の手順、グラム陽性菌とグラム陰性菌ではグラム陽性菌やグラム陰性菌について見ました。今回はその中でもグラム陽性菌の代表例である以下のものについて見ていきたいと思います。
ブドウ球菌属は通性嫌気性菌で、芽胞も作りません。ブドウ球菌属は環境中に広く存在し、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの種類があります。黄色ブドウ球菌の中でもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus;MRSA)が医療現場では問題になります。
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、β-ラクタム系抗菌薬との親和性が低下したペニシリン結合タンパク質(PBP2’)をコードする遺伝子を持ちます。その結果、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus;MRSA)はβ-ラクタム系に耐性を持っています。そのため、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus;MRSA)には、バンコマイシン、リネゾリド、テジゾリド、アルベカシン、テイコプラニン、ムピロシンなどが使われます。
レンサ球菌属も通性嫌気性菌で、芽胞も作りません。レンサ球菌属には肺炎レンサ球菌などがあり、肺炎、中耳炎、髄膜炎などの化膿性炎症の原因となります。
ジフテリア菌はコリネバクテリウム属の1つで、好気性又は通性嫌気性で芽胞も作りません。飛沫などにより感染すると、粘膜組織の壊死や呼吸困難などの症状が起こります。
炭疽菌はバシラス属の1つで、通性嫌気性で芽胞を作ります。環境中では芽胞の状態で存在して体内に侵入すると発芽、増殖して皮膚炭疽や肺炭疽などの症状が起こります。
ボツリヌス菌はクロストリジウム属の1つで、偏性嫌気性で芽胞を作ります。ボツリヌス菌が増殖してボツリヌス毒素を産生すると、アセチルコリンの遊離を阻害して筋弛緩性の麻痺が起こり、複視、嚥下困難、呼吸困難などが起こります。
破傷風菌はクロストリジウム属の1つで、偏性嫌気性で芽胞を作ります。破傷風菌が増殖して破傷風毒素を産生すると、強直性痙攣を引き起こし、呼吸困難などの症状が起こります。
ウェルシュ菌はクロストリジウム属の1つで、偏性嫌気性で芽胞を作ります。ウェルシュ菌が毒素であるエンテロトキシンを産生すると、下痢などを引き起こします。その他にもα毒素などを分泌してガス壊疽と呼ばれる症状も引き起こしたりもします。