前回の消化器系1、胃とプロトンポンプでは胃を見てきました。今回は腸を見ていきます。腸は、小腸と大腸と大きく2種類わけることができます。
小腸は消化と吸収のほとんどを行い、腸線から腸液が出ています。腸液は弱アルカリ性で膵酵素や胆汁などが含まれています。小腸は胃側から十二指腸、空腸、回腸となっていて、消化は主に十二指腸と空腸、吸収は空腸と回腸で行われます。
小腸の断面を見ると内側の粘膜は絨毛があります。さらに細かく見ると微絨毛が並んだ刷子縁構造をとっています。このような構造をとることで、表面積が広がり効率的となっています。刷子縁膜で消化吸収が行われます。
粘膜の外側には腸神経細胞が存在します。腸神経細胞はアウエルバッハ神経叢やマイスネル神経叢が存在します。アウエルバッハ神経叢は主に腸管の運動の制御に関わります。マイスネル神経叢は腸管粘膜の分泌や吸収の制御に関わります。
腸神経細胞以外にも筋層が存在し内側の輪走筋と外側の縦走筋が存在します。輪走筋と縦走筋がうまく連携することで蠕動運動が起こります。蠕動運動とは食べ物に対して、口側が収縮すると、肛門側が弛緩する運動のことです。蠕動運動によって食べ物は大腸の方に送られていきます。
ここまでくると位置関係がややこしいですが、内側から粘膜、マイスネル神経叢、輪走筋、アウエルバッハ神経叢、縦走筋となります。
大腸は消化作用はほとんどなく、水分を吸収して糞便の形成、蠕動運動などを行い排泄に関わります。大腸は小腸側から盲腸、結腸、直腸となっていて、結腸はさらに上行結腸、横行結腸、S状結腸にわけられます。
大腸は小腸のように絨毛などの構造はありません。代わりに杯細胞と呼ばれる細胞が多く存在して、粘液がたくさんでる構造となっています。粘液がたくさん出ることで糞便が輸送されやすい構造となっています。杯細胞の他にも腸内細菌叢があり、消化しきれなかったものを発酵させて分解するのも特徴的な構造となっています。