製剤、氷点降下度法の計算方法

製剤、氷点降下度法の計算方法

水は0℃で凍りますが、塩水では0℃では凍りません、これを利用して等張化計算する方法が氷点降下度法です。血清や涙液や生理食塩水の氷点降下度は0.52℃です。

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製剤、氷点降下度法の計算方法

前回の製剤、浸透圧の単位mOsm/Lとは?計算方法は?に続き、今回は等張化計算について見ていきます。目薬の浸透圧などは涙液と等張であることが望ましいとされていて、涙液や血清は、生理食塩水と等張です。今回は等張化計算の中でも氷点降下度法の計算について確認していきます。

 

 

氷点降下度法

まず氷点降下ですが、高校の化学を思い出してください。水は0℃で凍りますが、塩水では0℃では凍りません。この現象が氷点降下です。塩水が飽和溶液になるまで、濃度が大きくなるにつれて氷点降下は大きくなります。

 

これを利用して計算するのが氷点降下度法の計算になります。冒頭でお話しした血清や涙液の氷点降下度は0.52℃となります。つまりこれらと等張である生理食塩水の氷点降下度も0.52℃となります。

 

 

習うより慣れよなので、例題を見ていきます。

 

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例題1

アトロピン硫酸塩水和物点眼液1w/v%100mlを涙液と等張にするために加える塩化ナトリウムは何gか?ただし、アトロピン硫酸塩水和物点眼液1w/v%の氷点降下度を0.073℃とする。

 

涙液と等張にするためにとあることから、アトロピンの氷点降下度+塩化ナトリウムの氷点降下度=0.52となるようにすればいいことがわかります。

 

アトロピンの氷点降下度

問題文にアトロピン硫酸塩水和物点眼液1w/v%の氷点降下度を0.073℃とあることから、0.073℃であることがわかります。

 

塩化ナトリウムの氷点降下度

問題文で、1w/v%の塩化ナトリウムの氷点降下度が与えられていません。そのためまずこれを求めることから始めます。1w/v%の塩化ナトリウムの氷点降下度をX℃とします。

 

先ほども言ったように、生理食塩水の氷点降下度は0.52℃です。前回もお話ししたように、生理食塩水の濃度は0.9w/v%です。そのため比の計算を使います。

 

1w/v%:X℃=0.9w/v%:0.52℃

 

X=0.578℃

 

1w/v%の塩化ナトリウムの氷点降下度は0.578℃とわかりました。

 

さて、アトロピンの氷点降下度+塩化ナトリウムの氷点降下度=0.52であるため、アトロピンの氷点降下度を代入すると塩化ナトリウムの氷点降下度=0.447℃となります。

 

1w/v%の塩化ナトリウムの氷点降下度は0.578℃だったため、0.447÷0.578=0.77となります。すでに100ml溶液であるため、0.77gが答えです。

 

習うより慣れよ第二弾、もう一問解いてみましょう(笑)

 

例題2

涙液と等張な1w/v%コカイン塩酸塩点眼剤を100ml作るのに必要なホウ酸の量は何gか?ただし、コカイン塩酸塩1w/v%の氷点降下度を0.09、ホウ酸1w/v%の氷点降下度を0.28とする。

 

考え方は先ほどと同じです。涙液と等張にするため、コカインの氷点降下度+ホウ酸の氷点降下度=0.52となるように作ります。

 

コカインの氷点降下度は0.09℃×1w/v%=0.09となります。

 

0.52-0.09=0.43℃となります。これが調製するホウ酸の氷点降下度となります。

 

問題文にホウ酸1w/v%の氷点降下度を0.28とあることから、0.43÷0.28=1.54となります。今回もすでに100ml溶液であるため、1.54gが答えです。

 

まとめ

  • 血清や涙液の氷点降下度は0.52℃
  • 生理食塩水の氷点降下度も0.52℃

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