製剤、界面活性剤と臨界ミセル濃度(c.m.c)

製剤、界面活性剤と臨界ミセル濃度(c.m.c)

界面活性剤は親油基と親水基からなります。界面活性剤は、様々な特徴を持ち、臨界ミセル濃度(c.m.c)、クラフト点、曇点、HLBなどがあります。

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製剤、界面活性剤と臨界ミセル濃度(c.m.c)

製剤、表面張力とGibbs(ギブズ)の吸着吸着等温式で、表面張力を変えるものに界面活性剤があることをチラッと話をしました。今回は界面活性剤について見ていきます。界面活性剤と言われるとピンと来ないかもしれませんが、身近な例では洗濯用洗剤などがあります。

 

 

まず界面活性剤の構造から見ていきます。

 

界面活性剤の構造

界面活性剤は、油と仲が良い親油基、水と仲が良い親水基からなります。

 

 

このうち親水基は、-COOH、-OH、-SO3H、-NH2など様々なものがあり、親水基によって以下のように分類されます。

 

  • 陰イオン性界面活性剤;界面活性剤の親水基が陰イオン
  • 陽イオン性界面活性剤;界面活性剤の親水基が陽イオン
  • 両性界面活性剤;界面活性剤の親水基が陰イオンと陽イオン両方持つ
  • 非イオン性界面活性剤;界面活性剤の親水基がイオンを持たない

 

 

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ミセル

表面張力の時にお話ししたように、界面活性剤を水に入れると、界面に並びます。この時、親水基は水と仲が良いので親水基を水側に向けて並びます。そしてそれ以外は単体で溶液に存在します。この単体をモノマーと呼んだりします。

 

 

そのまま界面活性剤を加えていくと、界面が飽和してきます。

 

 

さらに界面活性剤を加えていくと、溶液中のモノマーが集まりミセルと呼ばれる状態になります。例えるなら、モノマーは花びらで、ミセルは花といった感じです。

 

 

このミセルを作り始める濃度を臨界ミセル濃度(c.m.c)と呼びます。

 

界面活性剤の性質と濃度

冒頭で界面活性剤の例として洗濯用洗剤を上げましたが、界面活性剤は以下のような性質を持ちます。

 

  • 洗浄力;油汚れを衣服から引き離す力。臨界ミセル濃度(c.m.c)付近で増大する。
  • 可溶化力;水に溶けやすくする力。臨界ミセル濃度(c.m.c)で増大するが、洗浄力より界面活性剤が必要。
  • 当量電気伝導度;1molあたりの伝導度。臨界ミセル濃度(c.m.c)で低下する。電気伝導度は固定の値で変わらないが、molが増えるため、当量電気伝導度は下がると考えるとわかりやすい。

 

 

次に温度と溶解度の関係性を見ていきます。

 

クラフト点

イオン性界面活性剤は、温度を上げていくと、溶解度が急激に増加します。この温度をクラフト点と言います。

 

 

クラフト点は親油基の炭素数が増えると、臨界ミセル濃度(c.m.c)は低下します。これは、親油基が長いと水と仲が悪いため不安定となります。そのためすぐに界面に行きたがります。その結果界面がすぐに飽和するため、臨界ミセル濃度(c.m.c)が下がるというイメージになります。

 

曇点

非イオン性界面活性剤は、温度を上げていくと、溶解度が急激に減少して白濁します。この温度を曇点と言います。

 

 

非イオン性界面活性剤は、親水基と溶液中の水分子と水素結合をして溶解性が上がっています。しかし、温度を上げることにより水素結合が切られてしまい、溶解度が下がってしまうために起こります。

 

HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)

ここまで色々な界面活性剤の性質をお話しして、界面活性剤の親水基と親油基がその性質に与える影響はおわかり頂けたと思います。親水基と親油基のバランスを示す値に、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)があります。

 

HLBは親水親油バランスと訳されます。HLBの値が大きいほど親水性が高く、HLB>7で親水性、HLB<7で親油性となります。

 

まとめ

  • 界面活性剤は親油基と親水基からなる。
  • ミセルを作り始める温度を臨界ミセル濃度(c.m.c)と言う。
  • イオン性界面活性剤は、クラフト点を持つ。
  • 非イオン性界面活性剤は、曇点を持つ。
  • HLBは親水基と親油基のバランスを示す。

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