薬物動態、腎クリアランスCLrの計算式

薬物動態、腎クリアランスCLrの計算式

全身クリアランスは腎クリアランスを用いて、CLtot=CLr+CLhとあらわすことができます。また腎クリアランスはCLr・Cp=U・VやCLr=(GFR・fp+分泌クリアランス)(1-R)とあらわすことができます。

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薬物動態、腎クリアランスCLrの計算式

前回の薬物動態、全身クリアランスCLtotとAUCでは全身クリアランスを確認しました。今回は腎クリアランスに関連した項目を見ていきます。

 

 

ADMEの時に確認したように、基本的に肝臓で代謝されて、尿中に排泄される流れをとります。つまり薬の消失には肝臓と腎臓が大きく関わります。肝臓におけるクリアランスを肝クリアランスCLh、腎臓におけるクリアランスを腎クリアランスCLrと呼びます。これらのクリアランスが大部分を占めるため、CLtot=CLr+CLhが成り立ちます。

 

腎クリアランスCLr

血漿中の薬物濃度をCpとすると、腎臓から消失した薬物量=CLr・Cpとあらわせます。

 

また尿中薬物濃度をU、尿量をVとすると、尿中へ排泄された薬物量=U・Vとあらわせます。

 

腎臓で消失した薬物量は、尿中排泄された薬物量となるので、

 

腎臓から消失した薬物量=尿中へ排泄された薬物量

 

つまりCLr・Cp=U・Vとなります。

 

他にもADMEの排泄の時に、腎臓は糸球体でろ過され、尿細管で分泌と再吸収が行われることを確認しました。これらを腎クリアランスを用いて式に表すと、

 

 

腎クリアランス=糸球体ろ過クリアランス+分泌クリアランス-再吸収クリアランス

 

となります。再吸収は体に戻されてしまうので、プラスではなくマイナスなので注意しましょう。

 

糸球体ろ過クリアランスは糸球体ろ過速度GFR、血漿タンパク非結合率fpを用いて表すと、糸球体ろ過クリアランス=GFR・fpとあらわせます。分子量の小さい方が糸球体をすり抜けやすかったことを思い出しましょう。

 

さらに、尿細管での再吸収率をRとすると、再吸収クリアランス=(糸球体クリアランス+分泌クリアランス)・Rとあらわせます。

 

腎クリアランス=糸球体ろ過クリアランス+分泌クリアランス-再吸収クリアランス=糸球体ろ過クリアランス+分泌クリアランス- (糸球体クリアランス+分泌クリアランス)・R=(糸球体ろ過クリアランス+分泌クリアランス)(1-R)となります。

 

さらに先ほどの糸球体ろ過クリアランス=GFR・fpを代入すると、

 

腎クリアランス=(GFR・fp+分泌クリアランス)(1-R)ともあらわせます。どちらの式も流れを覚えられれば、覚えられると思います。

 

これらの式に関する例題を解いてみましょう。

 

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例題

患者の血漿クレアチニン濃度が1.0mg/dL、24時間採取した採取した尿量が1.8L、尿中クレアチニン濃度は0.6mg/mLであった。この時の腎クリアランス(mL/min)はいくらか?

 

CLr・Cp=U・V

 

を使っていくことになります。質問の答えがmL/minとなっているので、まず単位を合わせる必要があります。V=1.8L/日=1.25mL/min

 

U・V=0.6mg/mL・1.25mL/min=0.75mg/min

 

Cpも単位を合わせる必要があります。1dLは100mLです。Cp=1.0mg/dL=0.01mg/mL

 

CLr=U・V/Cp=75mL/minとなります。

 

やはり単位の意識が重要です。

 

もう一つの式の方の例題も解いてみましょう。

 

例題2

ある薬を静脈内投与したら以下のようなデータが得られた。この薬の腎クリアランス(mL/min)はいくらか?

 

  • 血漿タンパク結合率=40%
  • 尿細管分泌クリアランス=137mL/min
  • 尿細管再吸収率=25%
  • 糸球体ろ過速度=125mL/min

 

腎クリアランス=(GFR・fp+分泌クリアランス)(1-R)を使っていくことになります。

 

GFR=125mL/min、fpは血漿タンパク結合率=40%であるため、fp=60%となります。分泌クリアランス=137mL/minとなるので、それぞれを代入します。

 

CLr=(125・0.6+137)(1-0.25)=159mL/min

 

まとめ

  • 全身クリアランスはCLtot=CLr+CLhとあらわすことができる。
  • CLr・Cp=U・Vが成り立つ
  • CLr=(GFR・fp+分泌クリアランス)(1-R)が成り立つ

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