薬物動態、繰り返し投与と定常状態

薬物動態、繰り返し投与と定常状態

今までは単回投与を見てきましたが、現実的には繰り返し投与が行われます。繰り返し投与を行っていくと、薬物動態としては定常状態に達します。

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薬物動態、繰り返し投与と定常状態

前回の薬物動態、点滴静注と定常状態では、点滴静注についてみてきました。今回は繰り返し投与です。例えば、1日2回や1日3回投与する薬があると思います。それがどのように血中濃度の変化を起こすかです。

 

 

繰り返し投与は一定時間の投与間隔τ(タウ)で投与するものと考えて、投与を続けていくと定常状態に達します。平均血中濃度Cssとすると

 

Div=Css・CLtot・τが成り立ちます。経口投与の場合はバイオアベイラビリティが追加となり、F・Dpo=Css・CLtot・τとなります。

 

習うより慣れよ感が強いので、まず静注の例題を見てみます。

 

例題1

半減期4時間、分布容積100Lの薬を、初回(0時間)、2回目(4時間後)、3回目(12時間後)に100mgずつ急速静注した。3回目の急速静注直後の血中濃度はいくらか?ただし、1-コンパートメントモデルにしたがうものとする。

 

まず、Div=C0・Vdであるため、C0=1mg/Lとわかります。

 

C0が出たので、あとはそれぞれの時間について12時間後にはどれくらい減っているかを考え、それを足し合わせていくことになります。

 

初回(0時間)

0時間から12時間では、3半減期分の時間が経っています。そのため、1半減期分で1mg/L×0.5=0.5mg/L、2半減期分で0.5mg/L×0.5=0.25mg/L、3半減期分で0.25mg/L×0.5=0.125mg/L。

 

つまり初回投与した薬の血中濃度は12時間後には0.125mg/Lとなっています。

 

2回目(4時間後)

4時間から12時間では、2半減期分の時間が経っています。

 

先ほどと同様に考えて、2回目に投与した薬の血中濃度は12時間後には0.25mg/Lとなっています。

 

3回目(12時間後)

3回目は投与直後であるため、時間は経過していません。そのため、そのまま1mg/Lとなります。

 

よってこれら3回分の血中濃度を足し合わせ、0.125+0.25+1=1.375mg/Lこれが答えです。

 

 

次は経口投与の例題をみてみます。

 

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例題2

数か月にわたって毎日ジゴキシン0.25mgを飲んでいた体重50kgの患者がジゴキシン中毒となった。入院直後のジゴキシンの最低血中濃度が4ng/mLとなっていたため、投与を中止した。ジゴキシンの濃度が、2ng/mLに低下するにはどれくらいの時間がかかるか?なおジゴキシンのバイオアベイラビリティは0.7、分布容積は4.8L/kgとし、最低血中濃度は平均血中濃度としてあつかう。

 

4ng/mLから2ng/mLになる時間を聞かれているため、半減期を求めればよいことがわかります。t1/2=0.693/kelを使っていくことをイメージします。kelを出せば答えがでます。

 

さらにkelを出すには、kel=CLtot/Vdであるため、CLtotをまず求めていくことになります。

 

CLtotを求める。

F・Dpo=Css・CLtot・τを使います。単位などに気をつけて計算するとCLtot=1.82L/hとなります。

 

Kelを求める。

kel=CLtot/Vdより、Vd=4.8×50=240Lと先ほどのCLtotを代入して、kel=0.0075(1/h)

 

これをt1/2=0.693/kelに代入して、t1/2=92.4hこれが答えです。

 

ジゴキシン中毒については別ページ、ジゴシン(ジゴキシン)、血中濃度とジギタリス中毒の復習でもまとめているので、よければみてください。

 

まとめ

  • 繰り返し投与を行うと定常状態に達する

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