薬物動態、分布容積Vdとグラフの描き方

薬物動態、分布容積Vdとグラフの描き方

分布容積Vdは、組織への移行のしやすさを表す指標です。薬物動態では分布容積はDiv=C0・Vdと計算式をあらわすことができます。この式を使って、グラフの描き方を見てみます。

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薬物動態、分布容積Vdとグラフの描き方

前回の薬物動態、消失半減期t1/2とグラフの読み方では、消失半減期について確認しました。今回は分布容積について確認します。ADMEでも確認したように、分布容積は組織への移行のしやすさを表す指標でしたね。

 

 

前回同様、静脈投与するケースを考えます。薬物動態では静脈内投与量をDiv、血中薬物濃度をC0、分布容積をVdとすると、Div=C0・Vdが成り立ちます。難しそうに見えますが、塩水と同じです。濃度に容積をかければ、溶質が出てくるイメージを持ちましょう。

 

前回の消失半減期の例題をもう一度見てみます。前回はkelがわかればOKでしたが、今回はVdを計算してみましょう。

 

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例題

ある薬を100mg静脈内投与したところ、下記の片対数グラフがえられた。この薬のVdはいくらか

 

 

Div=C0・Vdであるため、Vd=100/10=10Lと計算することができます。

 

次回、お話しする全身クリアランスが関わってくるので少し早いですが、もう一つ例題を解いてみましょう。

 

例題2

ある薬物500mgを急速に静脈内投与した時のグラフはどのようになるか?ただし、体内動態は1-コンパートメントモデルに従い、全身クリアランスは17.3L/h、消失半減期は2hだった。

 

 

まず、kelを計算します。前回学んだt1/2=ln2/kelを使い、kel=0.693/2=0.3465となります。

 

次に次回学ぶ全身クリアランスが関わる式を用います。それはkel=Cltot/Vdです。Vd=17.3/0.3465=49.9≒50となります。

 

最後に今回学んだDiv=C0・Vdを使います。C0=500/50=10mg/Lと計算できます。

 

C0=10であるため、時間が0の時点では10に点を打つことができます。

 

 

そして消失半減期が2hであるため、2時間後には半分である5に点を打つことができます。

 

 

さらにスタートから4時間後には半分になるため2.5に点を打つことができます。同様にスタートから6時間後には1.25、8時間後には0.625とほぼ0に近づいてきます。

 

これらの点をつなげていくことで、おおよそ以下のような曲線を描くことができます。

 

 

まとめ

  • 分布容積は、組織への移行のしやすさを表す指標である。
  • Div=C0・Vdが成り立つ。

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