製剤、溶解速度とNoyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)

製剤、溶解速度とNoyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)

薬の溶解度や溶解速度はバイオアベイラビリティに影響を与えます。濃度変化などから溶解速度を求める式にNoyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)があります。

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製剤、溶解速度とNoyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)

薬のうち、錠剤は1平方センチメートルくらいの大きさがありますが、飲み込んだ後は体の中で、溶けていき、どんどん小さくなって吸収されます。この薬の溶けやすさや、溶ける速さはバイオアベイラビリティに影響を与えるため、薬を製剤化するときに考えなければならない要因の1つになります。今回はその考えのもととなる、物質の溶解について見ていきます。

 

 

薬の溶解

まず錠剤をビーカーの水に溶かすと、崩壊して顆粒となります。その後さらに小さい粉末状となり水に溶けていきます。

 

この時、ビーカーの中では、大きく4つの層に分けられます。

 

 

  • 固体;薬の固体
  • 飽和溶液;固体が溶けて飽和している溶液の層
  • 拡散層;飽和溶液と内部溶液の間の層
  • 内部溶液;まだ飽和しきっていない層

 

溶かし始めは飽和溶液と内部溶液の濃度の差がありますが、時間の経過とともに、拡散層を介して内部溶液も濃くなってくるため、この濃度の差は減っていきます。この時、拡散過程が非常に遅ければ、内部溶液に移るのも遅くなることがわかると思います。このことを拡散律速と呼びます。

 

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Noyes-Whitney式

先ほどの薬の溶解がどれくらいの速さで行われるかを表した式がNoyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)になります。

 

溶解過程が拡散律速の時、溶解速度dC/dtは、固体の表面積S、みかけの溶解速度定数K、溶解度Cs、内部溶液の濃度をCとすると、

 

dC/dt=K・S・(Cs-C)とあらわすことができます。

 

国家試験で、溶解速度は何に比例、反比例するかという問題が出ますが、普通のイメージを持っていれば解けると思います。

 

  • 表面積が大きい方が、水に触れる面積が大きいわけですから溶けやすくなります。
  • 粒子径が小さい方が、粉末に近いわけですから、溶けやすくなります。
  • 温度を上げることで溶けやすくなります。
  • 溶媒の粘度が大きいと、ドロドロしているため濃度の移動が起こりにくくなるので、溶けにくくなります。
  • 撹拌すると、拡散層の厚みが小さくなるので、溶けやすくなります。

 

式というよりも、どうすれば薬が溶けやすくなるかのイメージを持ちましょう。

 

計算問題の例題を見てみましょう。

 

例題

ある固体の薬の溶解速度を測定したところ、次のデータを得た。みかけの溶解速度定数はいくらか?ただし、薬の溶解度は2mg/mL、表面積を1平方センチメートルとし、実験中表面積は変わらないものとする。さらにシンク条件が成立するものとする。

 

まず、シンク条件です。CsがCよりとても大きかったり、Cがほぼ0に近い状態をシンク条件と言います。この条件下では、(Cs-C)≒Csと近似となります。よって、シンク条件の時のNoyes-Whitney式は

 

dC/dt=K・S・Csとあらわすことができます。

 

dCやdtは変化量を表すので、どこでもいいので差をとります。ここでは時間0と時間1の差をとります。S=1、Cs=2を代入して

 

(0.021-0)/(1-0)=K・1・2

 

よって、0.01が答えとなります。

 

まとめ

  • 薬の溶解度や溶解速度はバイオアベイラビリティに影響を与える。
  • 濃度変化などから溶解速度を求める式に、Noyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)がある。

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