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薬の素となる化合物には、同じ化合物なのに配列が違うことによって、溶解性、安定性、吸湿性などが異なる場合があります。このようなものを結晶多形と言います。今回は結晶多形について見ていきます。

結晶多形は大きく2つにわけられます。

安定形結晶は、文字通り安定しているため、融かすためにエネルギーがいる、つまり融点が高くなります。安定していて、溶かしにくいため溶解度も小さくなります。
準安定形は、安定形結晶の逆を考えればいいですね。
これらの安定形結晶と準安定形結晶との間では、温度によって転移が起こります。この時の温度を転移温度と言います。
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結晶多形を測定する方法の1つが粉末X線回析法になります。
粉末X線回析法の概要は結晶にX線を入射すると、X線が回析します。この時回析されるX線は結晶固有の値であるため解析ができます。

概要を見たところでもう少し細かく見てみましょう。
まず結晶は、構成している分子や原子が規則正しく並んでいて、立方体のような構造をしています。これを単位格子と呼びますが、結晶はこの単位格子がたくさん集まって構成されています。

結晶にX線を入射すると、その一部は結晶の電子を振動させます。振動した電子はX線を放射します。この時のX線はその散乱方向によって波長を強めたり、弱めたりします。
この回析方向はブラッグの式で表されます。
これは式というよりも図で覚えた方がいいと思います。

この図で、結晶面の間隔をdとすると、半分の波長の長さは、dcos(90−θ)となります。cos(90−θ)=sinθですから、半分の波長の長さはdsinθとなります。よって、1波長分の長さは2dsinθとなります。
例えば、ある薬の粉末X線回析法のグラフは、縦軸を回析強度、横軸を回析角度とすると以下のような感じになります。

AとBを比べると、回析強度(縦軸)は異なりますが、回析角度(横軸)はほぼ一緒です。そのため、AとBの単位格子の大きさは同じと判断できます。
それに対して、Cのグラフはなだらかなグラフとなっています。これは分子配列がランダムとなっていて、規則正しい構造をもっていないため、散乱するX線が弱くなっているために起こります。