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前回の製剤、粒子の測定方法と粒度分布では、粉体の測定方法を確認しましたが、今回は粉体の性質などを確認していきます。
粉体の性質で、製剤に関わるものには以下のようなものがあります。
粉体を容器に詰めていくとき、それぞれ形が合っていないのでぴったりフィットはしません。そのため、空間ができます。イメージとしては以下のような図になります。
この隙間を含んだ体積をみかけ体積(Vみ)又はかさ体積と呼びます。そしてこの時の密度を、みかけ密度(ρみ)又はかさ密度と呼びます。ワードとしては、「みかけ」や「かさ」という言葉が入っていると、空気(空間)を含んでいるという意味になります。
みかけ密度に対して、隙間を含まない密度を真密度(ρ真)と呼びます。こちらはワードしては「真〜」だと空気(空間)を含んでいないという意味になります。
さて、みかけ密度は一定の箱に入る粉体の重さと言い換えることもできます。質量=密度×体積が一般的に成り立つため、粉体質量=みかけ密度×みかけ体積がなりたちます。
そして、それに似た単語にみかけ比容積というものがあります。これは粉体質量当たりのみかけ体積を表します。つまり、一定の粉体が入る箱の大きさとも言えます。そのため、みかけ体積=みかけ比容積×粉体質量が成り立ちます。
箱に詰めていった時の、隙間の割合を空隙率と呼びます。空隙率はみかけ体積に対する隙間体積の割合で表せるので、空隙率=空隙体積/みかけ体積で表せます。
最初の図が理解できていれば、そこまで式など覚えずにいけると思います。これらの指標から充填性の良さ悪さは以下のようになります。
流動性の目安となる項目には、以下のようなものがあります。
粉体を平面に落としたときに出来る角度を安息角と言います。流動性がいいものほど、サラサラして平べったくなるため角度が小さくなるイメージができると思います。
穴の開いた円筒容器に粉体を入れて、そこから出てくる粉体の流出速度を測ります。これもサラサラしている方が早く出ていくため、流出速度が速いほど流動性がよいイメージができると思います。
容器に粉体を入れて上から力を加えます。その後に横に力を加えていくと、容器が滑り、この時の摩擦を測ります。これもサラサラしている方が滑るため、内部摩擦係数が小さい方が流動性がよいイメージができると思います。
さて、これらの流動性を改善するにはどうすればよいでしょうか?
流動性の改善には、以下のような方法があります。
粒子径を大きくすることで、自分の重みで転がっていきます。
粒子表面を滑らかにしたりすることで流動性を改善する添加剤を滑沢剤と言います。滑沢剤の代表例には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴールなどがあります。覚えるゴロとして、
ある市場でタルを買ったところ、捨てたはずのマグロが飛び込んできたという物語です。
滑沢剤は加えまくれば、流動性を改善するわけではなく、最適量があるので注意が必要です。
ベタベタしている粉より、乾燥させてサラサラしている粉の方が流動性がいいことはイメージができると思います。
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吸湿性はまわりの大気の相対湿度の影響を受けます。縦軸に吸湿量、横軸に相対湿度から表される曲線を吸湿平衡曲線と言います。
このグラフは水溶性物質か、水不溶性物質かによって異なります。
水溶性物質はある相対湿度で急激に吸湿量が上がります。この時の値を臨界相対湿度(CRH;critical relative humidity)と呼びます。水溶性物質だけCRHがあり、水不溶性物質はCRHはありません。
ここで、2種類以上の水溶性物質を混ぜたときに、CRHは低下して吸湿しやすくなります。この仮説をエルダーの仮説と呼びます。