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前回のアルケンの反応1、syn付加とanti付加では、syn付加とanti付加について見ました。今回もアルケンの反応を見たいところですが、前置きとしてカルボカチオン、カルボアニオンの安定性を見ていきます。なので今回は反応機構はおあずけです(笑)
カルボカチオンやカルボアニオンの前に電子供与基や電子求引基をまず見てみましょう。
電気陰性度が大きいものは電子を引き付ける力が強いという話を以前しました。そのため炭素などに結合すると電子をひきつけようとします。このような置換基を電子求引基と呼びます。一方でアルキル基は電子を与えようとします。このようなものを電子供与基と呼びます。
ここで少しややこしいのが、同じ炭素でも普通の直鎖の炭素なのか、ベンゼン環などの芳香族に置換基が結合するのかによって変わってくるものがあることです。例えば、NH2のNは電気陰性度が大きいので、本来は電子を引っ張ります。そのため直鎖の炭素にくっつくと電子求引基として働きます。しかし、ベンゼン環につくと電子供与基として働きます。この違いはなんでしょうか?
ポイントは共鳴です。共鳴をすることで安定化するというお話も以前しました。そのためNH2のように非共有電子対を持ち共鳴できるものは芳香族へと電子を回し安定化します。一方で、NO2など自ら不飽和結合を持ち共鳴のパーツとなりうる置換基は電子求引基として働きます。
ややこしいのでまとめると以下のようになります。
やはり抑えておくべきは、電子求引基、電子供与基どちらにもなりうる置換基です。
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カチオンは陽イオンのことを指します。そのためカルボカチオンはプラスに荷電した炭素を言います。カルボカチオンは3つの電子しかなく腕が3本、つまりsp2混成軌道をとります。
電荷はプラマイゼロに近い方が安定であるため、プラスに荷電しているカルボカチオンに電子供与基がくっつくと安定することがわかります。
そのためカルボカチオンの安定性は
となります。
ちなみに電子求引基が結合すると、さらに電子がとられてしまうため不安定となります。
カルボカチオンに対して、カルボアニオンはマイナスに荷電した炭素を言います。カルボアニオンは腕が3本と共有電子対があるためsp3混成軌道をとります。
カルボアニオンはマイナスに荷電しているため、これ以上電子供与基がついてしまうと、さらにマイナスに荷電してしまうため不安定となります。イメージとしてはお腹いっぱいなのに、さらにご飯がくる感じです。よって、カルボアニオンの安定性は
となります。
こちらは電子供与基が結合すると、電子が求引されプラマイゼロに近づくため安定化します。