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前回のアルケンの反応2、マルコフニコフ則とカルボカチオンではマルコフニコフ則についてみました。今回もアルケンの反応の続きを見ていきます。
アルケンにボラン(BH3)をテトラヒドロフラン(THF)存在下で反応させると、π結合がボランのBを攻撃して、四角形のような中間体を作ります。例えば、プロペンにボランを反応させたときに以下の2つが考えられます。
これを考える時にも有効なのがカルボカチオンです。C-Bの結合を作る時にアルケンのπ結合の電子はBに向かっているため、Bと結合していない方のCは電子不足となり微妙にプラス(δ+)になっています。よって1位にBがつき第二級カルボカチオンのような状態を保っている方が安定となります。
その後塩基条件で過酸化水素で酸化すると、BH2部分がOHに置換されてアルコールとなります。
この反応の結論をみると、syn付加かつ逆マルコフニコフ則で行われていることがわかります。前回学んだ酸触媒下で水を付加させる反応はマルコフニコフ則でした。よって、これらの反応を使い分けることでアルコールを作り分けることができます。
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アルケンに酢酸水銀と水を反応させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元することでアルコールを得る方法です。同様にプロペンを例に見てみましょう。
酢酸水銀は以下のようにプラスとマイナスに分かれます。
そのうち水銀がある方がアルケンのπ結合と反応して三角形を作ります。
その後水が下側から攻撃を行います。この時に水が攻撃するのも2つ考えられますが、酢酸水銀がかさ高いので水は混んでいる方(置換基の多い方)を攻撃します。そうすることで酢酸水銀が空いている方に行きます。
さらに水素化ホウ素ナトリウムで水銀部分が還元されてHに置換されアルコールが完成します。オキシ水銀化-還元法では、anti付加かつマルコフニコフ則に従ったアルコールが得られます。
アルコキシ水銀化-還元法はエーテルを作る方法です。先ほどのオキシ水銀化-還元法では水を反応させましたがアルコールを反応させることでエーテルが得られます。
アルコキシ水銀化-還元法も先ほどと同じ反応機構で進むので、anti付加かつマルコフニコフ則に従ったエーテルが得られます。