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前回のイオン結合、金属結合、共有結合(σ結合、π結合)では、σ結合やπ結合などについてみてきました。これらは、s軌道やp軌道により作られる話をしましたが、ものによってはs軌道やp軌道だけでは説明がつかないことがあります。そういった時に出てくるのが混成軌道となり、今回はそれを見ていきます。
混成軌道には大きく3つの種類があります。
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まず軌道の復習となります。炭素は周期表で6番目であるため、電子を6個持ちますが、これはどのように軌道に入るでしょうか?
前回の時に割愛しましたが、これを正しく理解するにはスピンを知っておく必要があります。電子は自転していて磁力を発生しています。軌道ではこれを矢印で表します。
さて、話を炭素に戻すとエネルギーの低い順番に入っていくので、1s軌道に2個入ります。この時に磁力を打ち消すように、互いが逆になって電子が入ります。次に2s軌道に2個入ります。これも1sと同じように互いが逆になって電子が入ります。
最後に2p軌道に入っていきますが、2p軌道はx軸、y軸、z軸の3つあり、いきなり1つのところ(例えば2px)に電子は2個入りません。1つの軌道に1個ずつ埋められていきます。例えば今回の場合は2pxに1個、2pyに1個というようになります。
ここでスピンを良く見てみると、2pxと2pyが1個ずつ電子が埋まっていて握手をする手が2つしかないことがわかります。そこで、2s軌道の電子を2pzに分け与えると握手する手が4本に増えます。これが混成軌道の考え方です。sp3混成軌道はその名の通りs軌道1個とp軌道3つからできています。
握手する腕が4本均等に出ているため、sp3混成軌道の結合角は一般的に109.5°となり、正四面体構造をとります。構造式を書くときに、角度にこだわる先生がいたかもしれませんが、これはこういう理由によります。sp3混成軌道はメタン(CH4)などを考えればわかりやすいですね。
sp2混成軌道は、2s軌道1個と2p軌道2個からなります。残った2p軌道1個はどうなるかと言いますと二重結合、すなわちπ結合に関わります。
エチレン(H2C=CH2)などを代表するように、sp2混成軌道の結合角は一般的に120°となり平面構造をとります。
sp混成軌道は、2s軌道1個と2p軌道1個からなります。残った2p軌道2つは先ほどと同じようにπ結合に関わり三重結合を作ります。
アセチレン(H-C三C-H)などを代表するように、sp混成軌道の結合角は一般的に180°となり直線構造をとります。