E1反応とE2反応、saytzeff(ザイチェフ)則とは

E1反応とE2反応、saytzeff(ザイチェフ)則とは

E1反応の律速段階は反応基質にのみ依存し第三級カルボカチオンの方がE1反応が起こりやすいです。E2反応の律速段階は反応基質と試薬の2つに依存し、saytzeff(ザイチェフ)則に従い、かつanti脱離で反応が起こります。

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E1反応とE2反応、saytzeff(ザイチェフ)則とは

前回のハロゲン化アルキル、SN1反応とSN2反応では、SN1反応やSN2反応を見ました。今回はE1反応やE2反応を見ていきます。

 

 

E1反応やE2反応を見る前に今回も1つ下準備としてsaytzeff(ザイチェフ)則について見ておきましょう。

 

saytzeff(ザイチェフ)則

saytzeff(ザイチェフ)則は、置換基の多いアルケンが優先して作られるという法則です。脱離反応が起こる時に置換基の多いアルケンができるには、Hの少ない方から外れた方が置換基が多くなるので、saytzeff(ザイチェフ)則はHが少ない方からHが脱離する法則とも言えます。

 

 

例えば2-ブロモブタンに脱離反応が起こると、1位の炭素についている水素が抜けるパターンと3位の炭素についている水素が抜けるパターンと2つの可能性があります。1位の炭素は水素3つ、3位の炭素は水素2つですから、saytzeff(ザイチェフ)則に従った場合、水素の少ない3位の炭素の水素が抜けてブタ-2-エンが優先的に作られます。

 

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E1反応

まずEはEliminatonの略で脱離反応です。前回のSN1と同じ感じで、E「1」反応なので、律速段階には反応基質のみが関わる脱離反応となります。そしてこれもSN1反応と同じように、E1反応も以下のように二段階で進みます。アルコールの分子内脱水を例に見てみましょう。

 

まず脱離基が抜けます。この場合はOHです。するとカルボカチオンができます。そう、毎度おなじみカルボカチオンです。安定なカルボカチオンを経由する方が良いので、E1反応は第一級カルボカチオンより第三級カルボカチオンの方が起こりやすくなります。

 

 

次にカルボカチオンの隣にある炭素の水素がsaytzeff(ザイチェフ)則に従い、抜けてアルケンが得られました。

 

E2反応

E2反応の反応速度は反応基質と試薬の濃度の2つに依存します。

 

 

E2反応は1段階反応で進み、強塩基などにより水素の引き抜きと脱離基の脱離が同時に行われます。この時の脱離はsaytzeff(ザイチェフ)則に従い、かつanti脱離で起こります。

 

まとめ

  • saytzeff(ザイチェフ)則は置換基の多いアルケンが優先して作られる法則であり、Hの少ない方から脱離する法則とも言い換えられる。
  • E1反応の律速段階は反応基質にのみ依存する。カルボカチオンを経由する2段階の反応であるため、第三級カルボカチオンの方がE1反応が起こりやすい。
  • E2反応の律速段階は反応基質と試薬の2つに依存し、saytzeff(ザイチェフ)則に従い、かつanti脱離で反応が起こる。

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