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前回の電子求引基と電子供与基、カルボカチオンとカルボアニオンの安定性では、カルボカチオンとカルボアニオンの安定性について見ました。今回はマルコフニコフ則について見ていきたいと思います。
マルコフニコフ則では前回のカルボカチオンの安定性が重要となってきます。
非対称アルケンにハロゲン化水素などの水素化合物(HX)を付加させた場合、HXのHは水素が多く結合している炭素にくっつきます。これをマルコフニコフ則と言います。
例えば2-メチルプロペンに塩化水素(HCl)が結合する場合を考えてみましょう。
前回の反応と同様に、まずπ結合がHClのHを攻撃します。そうした場合理論上2つのカルボカチオンを作ります。
1位がカルボカチオンとなった場合は、第一級カルボカチオンとなります。それに対して、2位がカルボカチオンとなった場合は第三級カルボカチオンとなります。ここで前回の復習です。第三級カルボカチオンと第一級カルボカチオンどちらが安定でしたでしょうか?
第三級カルボカチオンでしたね。よって2位がカルボカチオンとなった方が安定となるので、こちらが優先的に作られます。
その後Cl-がプラスのところに結合して完成します。
その他にもアルケンを酸触媒下で水と反応させると、今と同じような反応機構でマルコフニコフ則に従ったアルコールができます。
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法則には例外はつきものでマルコフニコフ則にも逆マルコフニコフ則が存在します。まさにマルコフニコフ則の反対で、Hは水素が少ない方の炭素にくっつきます。
逆マルコフニコフ則が起こる反応例の1つに過酸化物存在下でアルケンにHBrを反応させた場合があります。
衛生のペルオキシラジカルのように過酸化物は他の物質からHを引き抜き新たなラジカルを作ります。この反応ではブロモラジカルができこれがアルケンと反応します。例えば、2-メチルプロペンとブロモラジカルが反応すると先ほどと同様に2つのパターンが考えられます。
前回説明していませんが、ラジカルは電子が1個とれたやつなので少しプラスのイメージを持つことができます。そのため安定性はカルボカチオンと同じように考えることができます。
よって今回も第三級ラジカルが優先的に作られます。できたラジカルはHBrから水素を引き抜き完成します。