有機化合物の命名法、官能基が複数ある場合

有機化合物の命名法、官能基が複数ある場合

カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオールなどの官能基が複数ある場合は優先順位に従って命名法をやらなければなりません。

Sponsored Link

有機化合物の命名法、官能基が複数ある場合

前回の有機化合物の命名法、アミドまでで一通り基本の命名法を見てきました。今回は複数の官能基をもつ場合の命名法について見ていきます。

 

 

官能基が複数ある場合の命名法

今までは官能基が1つでシンプルなものでしたが、官能基が複数ある場合の命名法は官能基の優先順位を考えなければなりません。例えば、アルコールとカルボン酸をもった化合物がある場合、カルボン酸が優先されて命名されます。これはどのように決められているのでしょうか?

 

まず結論となりますがおおむね以下の図になるので、この図を叩き込んでください。

 

 

この図を見た上で見分け方マニュアルです。

 

  1. イオンがあるか
  2. C=Oがあるか
  3. 官能基がカルボン酸由来か
  4. O>S>N(おっさん)
  5. Hがあるか

 

この手順で見分けていけば、国試の命名法の大部分は対応できると思います。

 

 

結論から言うと、優先順位はこの順番となりますが、このマニュアルをもとに、先ほどの官能基を仕分けてみます。

 

まずイオンは最強なのでイオンがあるかどうかを見ます。これによって、優先順位はイオン>イオン以外となります。イオン以外のものを仕分けていきます。

 

二番目に構造式内にC=Oを持っているかです。C=Oを持っている代表例には、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトンなどがあります。よって、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン>アルコール、チオール、アミンとなります。

 

三番目に官能基がカルボン酸由来かどうかです。カルボン酸は当たり前ですが、エステル、アミドなどはカルボン酸から水がとれてできます。それに対してアルデヒドやケトンはカルボニルです。よって、カルボン酸、エステル、アミド>アルデヒド、ケトンという優先順位ができます。

 

四番目に官能基の原子がO>S>Nの順に優先されます。覚え方としてはおっさんがいいと思います。これでカルボン酸、エステル>アミドとなります。一方で二番目で仕分けられたアルコール、チオール、アミンの優先順位も決着がつきます。O>S>Nなので、アルコール>チオール>アミンという優先順位になります。

 

最後に官能基にHがあるかです。これによって、カルボン酸>エステルという優先順位となります。そして三番目で仕分けられたアルデヒドとケトンもアルデヒド>ケトンという優先順位となります。

 

Sponsored Link

Sponsored Link

 

置換基の名前

今まで基礎編でメチル基などを見てきましたが、先ほども学んだように今まで母体として使われていた官能基が置換基として扱われることもあるわけです。例えば先ほど仕分けたものの官能基が置換基として扱われるときには以下のような名前となります。

 

  • カルボン酸;carboxy
  • エステル;alkyl-oate
  • アミド;carbamoyl-
  • アルデヒド;formyl-
  • ケトン;oxo-
  • アルコール;hydroxy-
  • チオール;sulfanyl-
  • アミン;amino-

 

それでは例題を見てみましょう。

 

例題1

次の有機化合物の命名をせよ

 

 

今回のお題のように、構造式を見ると、OH、NH2、COOHと複数の官能基があります。しかし、いつもとやることは変わりません。まず何の官能基かを判断します。先ほどの見分け方マニュアルにしたがいやっていきます。

 

まずイオンはないのでここは飛ばします。

 

次はC=Oを探すと、カルボン酸があるため該当します。よってこの化合物はカルボン酸が母体であると判断できます。あとはいつもと同じです。このカルボン酸は炭素数が4であるためブタン酸となります。

 

位置番号は右からつけるため、2番目にアミノ基、3番目にヒドロキシ基がついていることになります。置換基はアルファベット順で並べるため、2-アミノ-3-ヒドロキシブタン酸。これが答えです。

 

 

まとめ

  • 官能基が複数ある場合は、優先順位に注意する。

就職や転職でお悩みの方はコチラ!私はここで年収120万円上がりました

Sponsored Link