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前回のNewman投影式の考え方ではNewman投影式について見ました。前回の例題でもチラッと言いましたが、手前と奥がかぶってしまうと見にくいばかりでなくエネルギー的に不安定となってしまうためにそれぞれがずれた構造をとっています。今回は立体配座と安定性を見ていきます。
立体配座の例でよく出てくるのがブタンです。ブタンをNewman投影式で書くと以下のようなパターンが考えられます。
普段私たちが電車内で場所を探すときに、空いているところを探すと思います。よほどの変わり者でない限りはわざわざ混んでいるところには行かないと思います(笑)
Newman投影式でも同じです。奥側のメチル基と手前側のメチル基は互いにずれた方が安定します。このような配座をねじれ形配座と呼びます。逆に手前も奥もメチル基がかぶっているのは最も不安定となります。このような配座を重なり形配座と言います。
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重なり形配座より、ねじれ形配座の方が安定であることがわかりました。しかし、ねじれ形配座の間でも最も安定なものが存在します。ねじれ形のうち、置換基どうしが60°のものをゴーシュ形と呼びます。それに対して、置換基どうしが180°のものをアンチ形と呼びます。先ほどの電車の例からもわかるように、アンチ形が最も混雑を避けている構造であるため、最も安定な構造となります。
つまりブタンにおいて安定性をまとめると、
となります。
国試風の例題を見ていきます。
Newman投影式でブタンの立体配座を表した。以下のうち正しいものを3つ選べ
1、A〜Cは重なり形配座、D〜Fはねじれ形配座である
2、Aはアンチ形、B〜Cはゴーシュ形である
3、A〜Fで最も安定なのはAである
4、BとCは安定性は同じである
5、A〜Fで最も不安定なのはEとFである
先ほどまでの説明が理解できていれば楽勝だと思います。
×です。
A〜Cがねじれ形配座でD〜Fが重なり形配座です。
〇です。
Aがメチル基が180°ずれているのでアンチ形、B〜Cが60°ずれているのでゴーシュ形です。
〇です。
ブタンにおける安定性は
ねじれ形のアンチ形>ねじれ形のゴーシュ形>重なり形
でしたね。Aはアンチ形なので最も安定です。
〇です。
どちらも同じゴーシュ形であり、右にあろうが、左にあろうが変わりありません。
×です。
ねじれ形のアンチ形>ねじれ形のゴーシュ形>重なり形
と言いましたが、電車の例でわかると思います。Dが最もメチル基がかぶっているため、重なり形配座の中でも最も不安定となります。