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人の約60%は水分です。これは成人の割合で、小児では70%、高齢者だと50%くらいといわれています。
赤ちゃんをイメージしてもらうと、プックリしていて水を蓄えていそうです。高齢者は逆をイメージしてもらえれば覚えやすいと思います。
この60%の内訳をみていきます。20%は細胞外液、40%は細胞内液となります。
細胞外液は循環に関わり、さらに毛細血管を流れる血漿と細胞間の隙間となる組織間液にわけられます。細胞内液はエネルギー産生などに関わります。
流れとしては細胞外液(栄養素、酸素を含む)→細胞内液(エネルギーなど産生)→細胞外液(老廃物、炭酸ガスを含む)となります。
通常、水がなくなっていくときは、細胞外液からなくなります。しかし細胞内液が細胞外液に移り、補充してくれる働きをします。
60%の水分が不足している状態を脱水と言います。これはよく「熱中症で脱水〜」などと聞くと思います。
逆に水分が過剰なときは溢水と言います。ちなみに「いっすい」と読みます。実習生の時読めなくて恥をかきました。こっちはあまり聞きなれていないかもしれません。まず脱水から見ていきます。
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少し捕捉します。
B筋攣縮は筋肉に必要な水や電解質が不足して起こります。
D頻脈は脱水することで血管内の水分が減り、早く送ろうと体が反応して頻脈となります。
E皮膚粘膜の乾燥はツルゴールの低下とも関連します。腕の皮膚をつまみ上げて放した時に、普通の人はもとに戻りますが、脱水の人はしわができたままなかなか元に戻りません。
GBUN(blood urea nitrogen)の略で血中尿素窒素と訳される。尿素CO(NH2)2は構造式からもわかるように窒素を含みます。これらの窒素は筋肉(タンパク質)や消化管出血などで赤血球が壊れると血中に出てきます。尿素窒素は腎臓の糸球体でろ過されたのち、一部が尿細管で再吸収されます。Creはクレアチニンのことで、筋肉を動かす際に出てくる老廃物です。通常は腎臓の糸球体でろ過されて、そのまま尿中排泄されます。脱水すると、水を排泄しないように再吸収が起こり、BUNが上昇します。よってBUN/Creが上昇します。健常人ではBUN/Creは10くらいですが、脱水状態だと20以上となります。
Hこれらは血液の水分がなくなれば、濃くなります。塩水の水が蒸発して、塩になるのをイメージと同じです。
脱水かどうかは、これらを総合的に考えて判断されます。脱水は大きく、A水欠乏性脱水、Bナトリウム欠乏脱水の2つにおおまかにわけられます。
水分だけ失われている状態です。先ほどの塩水と同じですが、水だけ飛んでしまっているため、塩水が濃くなるイメージです。
塩水が濃くなるということは、浸透圧が高い状態であるため、高張性脱水と呼ばれます。
この場合にはナトリウムより水分が多く減っているので、ナトリウム濃度が低い5%ブドウ糖液などが選択されます。
原因としては、水分接種不可、尿崩症などの疾患、発熱などによる発汗などがあります。
ナトリウムと水が失われている状態です。こちらは、塩水の塩と水が両方飛んで行ってしまっている(実際の塩水は塩は飛びませんが)ため、塩水の濃さは変わらない、あるいは薄くなるイメージです。
塩水がそのような濃さになるということは、浸透圧が低い〜普通ということになります。この状態は低張性脱水〜等張性脱水と呼ばれます。
よって減っているものを補うことになりますので、生理食塩水やリンゲル液などが選択されます。
原因としては、嘔吐下痢など、利尿薬などによる腎臓からの体液喪失、消化管出血や外傷などにより根本的に血液が失われている状態などがあります。特に出血をイメージしてもらえればわかりやすいですが、ナトリウム欠乏性脱水は体内の血液循環が保てなくなるので、顔面蒼白、冷や汗、血圧低下、頻脈などのショック状態となりやすいです。
溢水は、血管の外に水分が漏れ出てむくみます。全身の水分が多いので、全身がむくみ体重が増えます。むくみは眼瞼、腹部、下腿などに表面化されやすいです。中でも、水は重力に従っておちるので、下腿のむくみが顕著に出てきます。寝ていれば、背中側がむくんだりもします。
患者さんによっては、肺に水がたまって、肺水腫を起こしたりもします。