私が実習生の時は患者さんに、実際どのようにして輸液が投与されているのかイメージ出来ていませんでした。しかも患者さんによって使われている器材や輸液ラインが異なるので、病室を訪れたときに驚いたのを覚えています。
薬剤師でもある程度のことは知っておくべきです。最低限の内容を知ることで、カルテを読んだり、看護師さんなどとの会話がスムーズになります。
![]()
通常の輸液投与
![]()
手順
- 輸液セットを開封し、クレンメを閉じる。(必要であれば、三方活栓や延長チューブをつける)
- 導入針を輸液バックに刺しこむ
- エアー針を刺すか、通気口をあける。(滴下するに伴い、容器内が陰圧になるため空気をいれる必要がある)
- 点滴筒に液を1/3〜1/2くらい薬液を満たす。(薬液が少ないとルートの空気が混じり、多すぎると滴下数などを正しく確認できないため)
- クレンメを開き、輸液ラインに薬液を満たし、クレンメを閉じる。気泡などをなくす。
- 患者の静脈ラインと接続、クレンメを開き、輸液開始
- 輸液中の観察
- 輸液終了
このようにして、クレンメで速度を調節して薬液を落とすのが、基本となります。しかし、患者の状態や、薬液によってはこの方法が取れない場合があります。
なお注射の混合方法には以下のような種類があります。
- I.V.push法(側管注法);輸液セットのゴム管の部分や混注口から注射筒を用いて注入する方法。量の少ない注射剤、溶解度の安定性が低い薬物、血中濃度をを急に上げたいときなどに適する
- Piggyback法(ピギーバック法);三方活栓を用いて2つの輸液を接続して投与する方法。速度コントロールしやすく量の多い注射剤のとき、経時的な配合変化を起こす薬物などに適する
- Tandem法(タンデム法);二種類以上の輸液を連結管で接続して混合投与する方法。理論上、輸液をたくさんつなげられるため何種類もの輸液を投与したいときなどに適する
![]()
輸液ポンプ
![]()
目的
- 輸液を一定量、一定速度で正確に投与するとき
- 麻薬、抗がん剤、昇圧剤、インスリンなどを使うとき。
- 高齢者や小児など一般の成人と、ずれる可能性があるとき。
手順
- 輸液のスタンドに輸液ポンプをしっかりととりつけ、輸液ポンプの電源をつける。
- 輸液ラインをポンプにセットする(クレンメはポンプの下になるように注意!)
- 輸液ポンプの速度を確認(クレンメは開く)
- ラインを患者につなげて、輸液開始
- 輸液中の経過観察(患者の状態も確認!)
- 輸液終了
シリンジポンプ
![]()
目的
- 薬を微量かつ、正確な量を投与するとき
- 心血管系作動薬や、電解質補正液、麻薬、筋弛緩薬、鎮静剤などを投与するとき
- 動脈注射を行うとき(動脈の圧力によって通常の点滴はできないため)
手順
- 点滴スタンドに取り付ける(シリンジポンプの高さはベッドと同じくらいの高さに置く)、電源をつける。
- シリンジをシリンジポンプにセットする。
- 早送りボタンを押して、薬液を満たす。
- 流量の設定
- 患者に輸液ラインをつなげて、輸液開始
- 輸液中の経過観察(患者の状態も確認!)
- 輸液終了
中心静脈カテーテル
中心静脈とは、上大静脈や下大静脈のことを指し、心臓に近い位置にあります。
中心静脈カテーテルは、内頸静脈、大腿静脈、鎖骨下静脈から穿刺され、カテーテルの先端が上大静脈や下大静脈に留置されるものです。
通常の静脈に、組織を障害するような薬を投与すると、静脈炎をおこしてしまいます。それに対して、中心静脈は血流が速く、投与した薬がすぐに希釈されるので、静脈炎を起こしにくいです。
中心静脈カテーテルの種類としては、輸液が投与できる箇所や、長さなどが違うものがあります。輸液が投与できる箇所が1本だけのシングルルーメンカテーテル、2本のものをダブルルーメンカテーテル、3本のものをトリプルルーメンカテーテルと呼ばれます。
投与できる箇所が複数あるカテーテルでは、一般的に太いラインにメインの点滴(高カロリー輸液など)を接続し、細いラインに薬剤を接続し、薬効が似たものをまとめられることが多いです。
中心静脈カテーテルは長期間留置されていると、感染を起こす可能性があるため、体温、発赤、CRP、白血球などをチェックし、適宜消毒やライン交換をすることが重要です。
フィルター
輸液に混入してしまった、ゴム片、バイアル片、細菌の除去が目的です。基本的に中心静脈輸液の時に使われ、患者に一番近い位置に取り付けられます。最後に薬液をきれいにして、患者に投与するイメージです。フィルター付きラインなども存在します。
血液、血液製剤、脂肪乳剤はフィルターを通さないで滴下する必要があるため、薬剤師としてはチェックできる項目だと思います。
実際に投与される静脈については、前項、輸液を投与する経路にあるような静脈が選ばれます。
このように患者の病態や状況によって、さまざまな器材が組み合わされて、薬液が投与されるのです。
まとめ
- 過量投与の危険性や正確に投与するときには、輸液ポンプやシリンジポンプが使われる。
- 中心静脈は流れが速く希釈されるため、高カロリー輸液などを投与しても静脈炎を起こしにくい。
- 遺物や細菌を取り除くために、フィルターは一番患者に近いところにとりつけられる。