手術における輸液、サードスペースとは?

手術における輸液、サードスペースとは?

手術をする前には、禁飲食となるので、脱水を予防するために、術前や術中に輸液が必要となります。輸液する量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースへの移行などをもとに決められます。

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手術における輸液、サードスペースとは?

手術ができることは、治療法として大きな選択肢の一つとなります。手術を行うときにも輸液は関わってきます。今回は手術における輸液をみていきましょう。

 

 

術前

 

手術を受ける前は、患者は飲食が禁止されるため、経口摂取するかわりに輸液により脱水を防ぎます。どれくらい投与するかは術式や手術時間などにより異なりますが、冬では1ml/kg/h、夏では2ml/kg/hが目安となります。例えば、体重が50kgで、冬、手術時間が10時間だとすると、1ml×50kg×10h=500mlとなります。

 

しかし、次にお話しする術中で輸液することが多く、術前の輸液が行われないことも多いです。

 

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術中

 

手術中の輸液量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースへの移行などによって異なります。

 

サードスペースとは

サードスペースとは、機能しない細胞外液が集まる場所です。手術部位が侵襲されることで、生理的な反応で水が集まってきます。

 

サードスペースの水のイメージとしては、戦の最中のチキンな武将と思ってもらえたらと思います。

 

 

戦の最中は、陰に隠れて使い物になりません。そうするとその分、戦力が減るわけですから、増援を要請します。

 

 

戦が無事に終わると、何事もなかったかのように、ひょっこりチキン武将は出てきます。

 

 

戦の後だと、余計な武将が残ってしまっている。こんな感じです。

 

 

このイメージをもとに、もう一度考えてみましょう。サードスペースの水分は、手術部位が侵襲されると、生理機能として水が集まってきます。この水は細胞外液として、機能しない役立たずの水分です。そうすると、役立たずの水がある分輸液をしなければなりません。サードスペースの水は手術が終わって48時間を経つと、また再び体の循環に戻ります。よって術後は水分がサードスペースの水が戻ってきた分、水分が過剰な状態になります。その結果、術後48時間で尿量増える傾向になります。

 

サードスペースへの移行量は手術部位によって異なり、目安は以下のようになっています。

 

  • 脳;0〜2ml/kg
  • 顔面・頸部;5〜10ml/kg
  • 胸腔・胸壁;5〜10ml/kg
  • 上腹部;10〜15ml/kg
  • 下腹部;5〜10ml/kg
  • 四肢(体幹近接部);5〜10ml/kg
  • 手足;2〜5ml/kg

 

術中に使われる輸液

失うものに合わせた輸液が使われます。

 

  • 尿や不感蒸泄→3号液
  • 低血糖予防→5%糖液
  • 出血(10%以下)、サードスペースへの移行→細胞外補充液(フィジオなど)
  • 出血(10%〜20%)→血漿増量剤(低分子デキストラン、サリンヘス、ボルベンなど)
  • 出血(20%以上)→輸血

 

フィジオはマグネシウムを含み、細胞外液にかなり近い組成をしているのが特徴です。

 

血漿増量剤は、投与後血管内のみに分布するため、血管内の水分を維持することができます。

 

術後

手術後は、手術による出血やサードスペースの水分などにより、循環血液量が少ない状態にあります。目安として、尿量が0.5〜1.0ml/kg/hとなるように、輸液が投与されます。

 

先ほどサードスペースの話をしましたが、サードスペースの水が48時間後に戻ってくるため、尿量をチェックしながら、輸液量が過剰とならないように注意が必要です。

 

まとめ

手術の輸液量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースなどを考えて決められる。

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