ペルジピンは血圧を下げる作用が強く、ミリスロールは循環器系で使われる。

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緊急時の降圧薬の違い、ペルジピン、ミリスロール

血圧の基本、高血圧と低血圧のページでお話ししたように、血圧が高くなりすぎると緊急事態となります。今回は血圧を下げる注射薬を見ていきたいと思います。

 

 

血圧を下げる注射薬には以下のようなものがあります。

 

  • ペルジピン(ニカルジピン)
  • ミリスロール(ニトログリセリン)

 

院内採用によって名前が違ったりしますが、これらを見ていきます。

 

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ペルジピン(ニカルジピン)

ペルジピン(ニカルジピン)はカルシウム拮抗薬であり、血管を拡張して血圧を低下させます。

 

特徴

高血圧緊急症の治療と言えば、ほぼペルジピン(ニカルジピン)と思っていいほど、この薬が使われます。

 

用法用量
  • 手術時の異常高血圧の救急処置;生食又は5%ブドウ糖で希釈し、0.01〜0.02%溶液を点滴静注。2〜10μ/kg/分の点滴速度で投与を開始し、血圧をモニターしながら調節。急速に血圧を下げる必要がある場合は原液で10〜30μg/kgを静脈内投与する。
  • 高血圧緊急症;生食又は5%ブドウ糖液で希釈し、0.01〜0.02%溶液を点滴静注。0.5〜6μg/kg/分の点滴速度で投与し、血圧をモニターしながら速度を調節する。
  • 急性心不全;生食又は5%ブドウ糖液で希釈し0.01〜0.02%溶液を点滴静注。0.5〜2μg/kg/分の範囲で速度を調整する。

 

ミリスロール(ニトログリセリン)

ミリスロール(ニトログリセリン)は硝酸薬であり、生体内でNO(一酸化窒素)を遊離します。遊離したNO(一酸化窒素)が血管拡張に関与することで作用を示します。

 

特徴
  • 冠動脈を拡張させる作用(不安定狭心症)と末梢静脈を拡張させる作用(急性心不全)が主な作用になります。
  • 動脈拡張作用もあり血圧低下させます。

 

用法用量

原液そのまま、又は生食又は5%ブドウ糖液、乳酸リンゲル液などで希釈し0.005%〜0.05%溶液を点滴静注する。効能効果によって下記に基づき投与。

 

  • 手術時の低血圧維持;1〜5μg/kg/分。血圧モニターしながら、速度調整。
  • 手術時の異常高血圧の救急処置;0.5〜5μg/kg/分。血圧モニターしながら、速度調整。
  • 急性心不全;0.05〜0.1μg/kg/分で開始し、循環動態をモニターしながら5〜15分ごとに0.1μg/kg/分ずつ増量し、最適点滴速度で維持する。
  • 不安定狭心症;0.1〜0.2μg/kg/分で開始し、発作の経過や血圧をモニターしながら5分ごとに0.1〜0.2μg/kg/分ずつ増量し、1〜2μg/kg/分で維持する。効果が見られない場合は20〜40μg/kgの静注を1時間ごとに併用する。静注する場合は1〜3分かけてゆっくり投与する。

 

まとめ

  • ペルジピン(ニカルジピン)は血圧をさげる作用が強く、主に高血圧緊急症に使われる。
  • ミリスロール(ニトログリセリン)は不安定狭心症や急性心不全、異常高血圧に使われる。

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輸液が必要な患者とは
薬剤師や新人や実習生の人は注射や輸液のことをあまりわかっていないです。輸液はなんらかの理由で経口不可の状態のために行い、不足している水や電解質、栄養を補充します。
輸液を投与する経路
輸液の投与経路は、末梢静脈、中心静脈があります。末梢静脈であれば第一選択として腕で、次に脚が選ばれることが多いです。中心静脈は、高カロリー輸液をいく場合などに選ばれます。
輸液で使われる器材を知る。
輸液ポンプ、シリンジポンプ、中心静脈カテーテル、フィルターなど様々な器材が、患者の病態や状況によって組み合わあされて薬液が投与されます。薬剤師でも最低限のことは知る必要があります。
輸液は何の目的でするのか
輸液は、生命を維持したり、不足しているものを補うために行います。生命を維持するには、維持液がよく使われます。不足しているものを補うには、末梢静脈栄養と中心静脈栄養があります。末梢静脈栄養は手技がやさしく、感染のリスクが少ないのがメリットです。しかし高いカロリーが投与できません。中心静脈栄養は高カロリーが投与できます。
ヒトの水分を学ぶ。脱水、溢水をメインに。
ヒトの60%は水分でできています。その60%のうち、20%が細胞外液で40%が細胞内液となっています。脱水は主に水分欠乏性脱水とナトリウム欠乏性脱水にわけられ、水分欠乏性脱水では5%ブドウ糖液が、ナトリウム欠乏性脱水では生理食塩水やリンゲル液が使われます。溢水はむくんでいる状態で、特に下腿にむくみがでてきます。
ナトリウムと水分の関係。
ナトリウムは135〜145mEq/Lが基準値となります。この基準からずれたときは、ナトリウムを考えるだけでなく、水分も考える必要があり、補正する場合も橋中心髄鞘崩壊症が起こる可能性があるため、急に補正をかけてはいけません。
カリウムは数値だけでなく、心電図も見よう。
カリウムは細胞内に多く存在し、神経や筋肉が働くのに必要な電解質です。基準値は3.5〜5mEq/Lで、基準値以外にも、心電図でモニタリングすることが重要です。
輸液製剤は5つの分類わけから始めよう
実習生や新人が輸液製剤を考える上では、カリウム、ナトリウム、糖の有無をまず考えます。そして輸液製剤は、電解質輸液、5%ブドウ糖液、高カロリー輸液、電解質補正液、血漿増量剤の5つの分類にわけられます。
輸液量は3つの要因で決まる。
輸液量は、3つの要因で成り立つ式で決まる。維持輸液量は生命を維持するのに必要な水分量で、水分のバランスである。補充輸液量は失った体液に近い組成のものを投与する。安全係数は2日〜3日かけて投与することを意味する。
輸液の速度と滴数の計算
輸液の量を決めたら、速度を決めます。速度は2のべき乗の法則をもとに、病態、年齢、体重をもとに医師から指示が入ります。次に、滴数を決めます。これには輸液セットが関わり、現在は20と60があります。
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手術をする前には、禁飲食となるので、脱水を予防するために、術前や術中に輸液が必要となります。輸液する量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースへの移行などをもとに決められます。
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