徐脈の注射と言えば、アトロピン

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徐脈に使われる注射薬、アトロピン

脈拍の基本、頻脈と徐脈のページにあるように、徐脈であると循環がうまく保てなくなります。徐脈における注射薬で有名なものとしては、アトロピンでしょう。

 

アトロピン

心臓にあるムスカリンM2受容体を遮断することによって、徐脈性不整脈に使われます。徐脈性不整脈の他にもよく使われるのは迷走神経反射の徐脈です。迷走神経反射はカルテにそれなりの頻度でみかけるかと思うので、これもざっくりと確認しておきましょう。

 

迷走神経反射

まず迷走神経ですが、延髄に起こり、首から腹にかけての内臓に伸びている神経です。

 

 

そして迷走神経副交感神経です。副交感神経は交感神経と対になるものです。交感神経は活動しているときに基本的に優位になるのに対して、副交感神経はリラックスしているときに優位であるという話を聞くと思います。ヒトは常にリラックスしているわけでもなく、活動しているため、通常は交感神経が優位な状態を保っています。

 

しかし、通常の状態で、痛みや恐怖、精神的ストレスなどがかかると、体を落ちつけようと副交感神経(迷走神経)を優位の状態にします。迷走神経は心臓にも伸びているため、徐脈が起こってしまいます。こういったメカニズムであると迷走神経反射は考えられています。

 

 

有名なのが、心臓カテーテル検査時のものがあります。迷走神経反射は看護師さんからお話しを聞かせてもらえると色々なエピソードを教えてくれると思います。採血するときに注射を見て迷走神経反射が起こってしまったという話を聞きました。私も採血が苦手です(笑)

 

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話をアトロピンに戻します。

 

特徴
  • 抗コリン作用によって、瞳孔括約筋が弛緩するため、瞳孔が散大します。
  • 抗コリン作用によって、眼房水の排出が抑制されるため、眼圧が亢進します。(閉塞隅角緑内障には禁忌)
  • 抗コリン作用によって、唾液の分泌が抑制されるため、口渇を感じることがあります。
  • 抗コリン作用によって、膀胱平滑筋が弛緩するため排尿障害が起こることがあります。(前立腺肥大症には禁忌)
  • 徐脈以外にも様々な適応を持ち、有機リン系殺虫剤の中毒にも使われる。

 

用法用量
  • 0.5mgを皮下又は筋肉内に注射する。静脈内も注射可能。適宜増減。

 

有機リン系殺虫剤の場合は症状により用法用量が変わる。

 

  • 軽症;0.5〜1mgを皮下注するか、0.5〜1mgを経口投与する。
  • 中等症;1〜2mgを皮下・筋肉内又は静注する。必要があれば20〜30分ごとに繰り返す。
  • 重症;2〜4mgを静脈内に投与し、症状に応じて繰り返す。

 

まとめ

  • アトロピンは様々な徐脈に対して使われることが多い注射薬。

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輸液が必要な患者とは
薬剤師や新人や実習生の人は注射や輸液のことをあまりわかっていないです。輸液はなんらかの理由で経口不可の状態のために行い、不足している水や電解質、栄養を補充します。
輸液を投与する経路
輸液の投与経路は、末梢静脈、中心静脈があります。末梢静脈であれば第一選択として腕で、次に脚が選ばれることが多いです。中心静脈は、高カロリー輸液をいく場合などに選ばれます。
輸液で使われる器材を知る。
輸液ポンプ、シリンジポンプ、中心静脈カテーテル、フィルターなど様々な器材が、患者の病態や状況によって組み合わあされて薬液が投与されます。薬剤師でも最低限のことは知る必要があります。
輸液は何の目的でするのか
輸液は、生命を維持したり、不足しているものを補うために行います。生命を維持するには、維持液がよく使われます。不足しているものを補うには、末梢静脈栄養と中心静脈栄養があります。末梢静脈栄養は手技がやさしく、感染のリスクが少ないのがメリットです。しかし高いカロリーが投与できません。中心静脈栄養は高カロリーが投与できます。
ヒトの水分を学ぶ。脱水、溢水をメインに。
ヒトの60%は水分でできています。その60%のうち、20%が細胞外液で40%が細胞内液となっています。脱水は主に水分欠乏性脱水とナトリウム欠乏性脱水にわけられ、水分欠乏性脱水では5%ブドウ糖液が、ナトリウム欠乏性脱水では生理食塩水やリンゲル液が使われます。溢水はむくんでいる状態で、特に下腿にむくみがでてきます。
ナトリウムと水分の関係。
ナトリウムは135〜145mEq/Lが基準値となります。この基準からずれたときは、ナトリウムを考えるだけでなく、水分も考える必要があり、補正する場合も橋中心髄鞘崩壊症が起こる可能性があるため、急に補正をかけてはいけません。
カリウムは数値だけでなく、心電図も見よう。
カリウムは細胞内に多く存在し、神経や筋肉が働くのに必要な電解質です。基準値は3.5〜5mEq/Lで、基準値以外にも、心電図でモニタリングすることが重要です。
輸液製剤は5つの分類わけから始めよう
実習生や新人が輸液製剤を考える上では、カリウム、ナトリウム、糖の有無をまず考えます。そして輸液製剤は、電解質輸液、5%ブドウ糖液、高カロリー輸液、電解質補正液、血漿増量剤の5つの分類にわけられます。
輸液量は3つの要因で決まる。
輸液量は、3つの要因で成り立つ式で決まる。維持輸液量は生命を維持するのに必要な水分量で、水分のバランスである。補充輸液量は失った体液に近い組成のものを投与する。安全係数は2日〜3日かけて投与することを意味する。
輸液の速度と滴数の計算
輸液の量を決めたら、速度を決めます。速度は2のべき乗の法則をもとに、病態、年齢、体重をもとに医師から指示が入ります。次に、滴数を決めます。これには輸液セットが関わり、現在は20と60があります。
手術における輸液、サードスペースとは?
手術をする前には、禁飲食となるので、脱水を予防するために、術前や術中に輸液が必要となります。輸液する量は、術式や手術時間、出血量、サードスペースへの移行などをもとに決められます。
配合変化、薬剤師と看護師で協力する
配合変化は薬剤師と看護師で協力しあって防ぐことが重要となります。薬剤師側はデータや理論上の問題を、看護師は調製や実際の投与における問題をみることが重要となります。お互いが協力しあうことで配合変化を防げます。
酸・塩基。アシドーシス、アルカローシス。
血液のpHは7.35〜7.45に保たれています。アシデミアやアルカレミアはこの基準値からずれている状態です。これを主に調節しているのは、腎臓と肺です。アシドーシス、アルカローシスは傾向と捉えてもらえればよいです。
アシドーシス、アルカローシスを読み取る
読み取るには、まずアシデミアかアルカレミアを判断します。それをもとにアシドーシスなのかアルカローシスなのかを考えます。また代謝性なのか呼吸性なのかを考えましょう。逆の反応が代償性反応としておこります。
アシドーシス、アルカローシスの原因、症状、治療
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アニオンギャップ(AG)と代謝性アシドーシス
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