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高カロリー輸液などのお話の時に、浸透圧が高いため、末梢静脈から投与すると静脈炎を起こすというお話を何回かしました。今回は静脈炎について考えていきます。
疼痛、圧痛、赤班、発赤、腫脹、浮腫、熱感、赤い索状、排膿などがあります。症状によって以下の4つのスケールがあります。
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静脈炎の原因は以下の3つにわけられます。
輸液製剤における化学的な特徴が原因の静脈炎になります。化学的静脈炎の原因は主に2つあります。
血液のpHは7.35〜7.45に調整されています。このpHの血液に対して、pH4以下の酸性や、pH8以上の塩基性のものを投与すると静脈炎が起こる可能性が高まります。
酸性や塩基性の主な薬剤として以下のものがあります。
<塩基性の薬剤>
<酸性の薬剤>
高張液が静脈内に入ると、浸透圧の差によって、水分は濃いものを薄める方向に移動します。
つまり血管内皮を覆っている、血管内皮細胞の水分が血管にある高張液に水分をとられる形になります。水分を取られた内皮細胞は収縮してしまうのに対して、内皮細胞を支持する結合組織は収縮しないため、内皮細胞が剥離して静脈炎が生じます。
浸透圧比を3以下に抑えると、静脈炎は起こりにくいとされています。
ちなみに浸透圧比とは、血液や生理食塩水などの浸透圧を基準(1)としたときに、その製剤がどれくらい浸透圧が高い(濃いのか)を示したものです。
例えば、高カロリー輸液であれば浸透圧比が4以上となるため、血液や生理食塩水より4倍浸透圧が高いことを示しています。
物理的な要因による静脈炎です。主な原因は2つあります。
カテーテルの先端が、血管内皮を傷つけることが原因です。翼状針は先端が金属であり、血管内のわずかな動きでも傷をつけてしまうおそれがあります。
アンプルのガラス片、バイアルのゴム片、配合変化による結晶、空気などが原因となります。
不溶性異物は0.5μm以上のことが多いのに対して、フィルターは0.2μmの孔径であるため、キャッチしてくれます。
刺入部に細菌や真菌が入ることによる静脈炎です。主に以下の原因があります。
末梢静脈のカテーテルの留置時間が3日を超えると細菌性静脈炎の発生が増加するため、3日〜4日で交換するのが一般的です。