前項、アシドーシス、アルカローシスを読み取るでは、アシドーシスやアルカローシスの読み方を学びました。今回はそれらの原因、症状、治療などについて確認していきます。
原因は代謝性であれば代謝に、呼吸性であれば呼吸に原因があります。
治療は、原疾患の治療がベースとなります。
代謝性アシドーシス
原因
- ケトアシドーシス;1型糖尿病ではインスリンの絶対的不足が起こる。その状態ではブドウ糖の代わりに脂肪が代謝される。脂肪が代謝されると、ケトン体(アセトン、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸)が蓄積することによる。
- 乳酸アシドーシス;ブドウ糖は好気的に代謝されれば、ピルビン酸からアセチルCoAになるが、ビタミンB1不足やメトグルコ(メトホルミン)などによって、嫌気的にピルビン酸から乳酸が作られることによる。
- メタノール中毒;メタノールはホルムアルデヒドに分解され、さらに蟻酸に代謝され蓄積することによる。
- アスピリン中毒;アスピリンは正式名アセチルサリチル酸であり、酸が蓄積することによる。
- 腎不全;酸の排泄低下による
- 下痢;重炭酸イオンが失われることによる。
- 尿細管性アシドーシス;腎臓は、酸を排泄したり、重炭酸をつくるという話をしました。この働きが失われてしまうことによる。
症状
- 血圧の低下;循環不全による
- 頭痛、傾眠、昏睡など;中枢神経系の抑制
- クスマウル呼吸;代償性の反応。大きく深い呼吸。
治療
- 原疾患の治療
- メイロン(炭酸水素ナトリウム)の投与
代謝性アルカローシス
原因
- 嘔吐・胃液の吸引;胃酸の減少による
- ラシックス(フロセミド)などの投与;カリウムが排泄されることにより、近位尿細管でNa/HCO3共同輸送体が働いて、重炭酸イオンの再吸収が増えることによる。
- アルドステロン症;低カリウムを起こし、上のラシックス(フロセミド)と同じメカニズムをたどる。
- クッシング症候群;副腎皮質からの糖質コルチコイドが過剰な状態。糖質コルチコイドも、弱いながらも鉱質コルチコイドと同じ作用をしめす。よってカリウムの排泄が起こる。あとは上と同じ。
- メイロン(炭酸水素ナトリウム)などの過剰投与;アルカリが増えるため。
症状
- 筋肉の痙攣など;pHが上昇することによって、カルシウムイオンが減るため。
治療
- 生理食塩水の投与;循環血漿量の改善
- ダイアモックス(アセタゾラミド)の投与;重炭酸イオンの排泄促進
- 血液透析
- 酸の投与
呼吸性アシドーシス
原因
- 重症筋無力症
- 閉塞性肺疾患(COPD)
- 肺血栓塞栓症
- 肺水腫
など。呼吸によって二酸化炭素が排泄しにくいとなりやすい。
症状
治療
など
呼吸性アルカローシス
原因
- 過換気症候群
- 脳炎、髄膜炎;呼吸中枢が刺激されることによる。
- 敗血症
など。呼吸が過剰になることによって、二酸化炭素の排泄が増えることによる。
症状
治療
まとめ
- 代謝性であれば代謝に原因があり、呼吸性であれば呼吸に原因がある。