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配合変化を起こすと、薬の効果が低下したり、結晶で血栓が作られてしまったりと様々な悪影響をもたらします。病棟の看護師さんから問い合わせがくることが多く、薬剤師が関われる内容の1つです。
しかし、配合変化は薬ごとによって気をつける内容が膨大にありますので、実際に細かく覚えている人は少ないのではないでしょうか?
よって、処方が出て自信がなければ調べるというスタンスで徐々に慣れていくしかないと思っています。調べるにあたって、添付文書やインタビューフォームが役に立ち、「注射薬調剤マニュアル」という本も参考になります。
ここでは配合変化の基本的なことについてみていきます。まず、以下のような原因があります。
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医薬品は溶解度や安定性を高めるために、その医薬品にとって最適なpHとなるように調整されています。薬が複数種類混ざり、最適なpHからずれてしまうことによって、混濁や沈殿が生じます。
例えば以下のようなものがあります。
酸性薬剤と配合変化しやすいもの
塩基性薬剤と配合変化しやすいもの
化学式の関係上、金属とキレートをつくり沈殿を生じたりします。
有名な例だと、メイロン(炭酸水素ナトリウム)はカルシウムを含む輸液と混合すると、キレートを作るケースがあります。
注射剤に限った話ではありませんが、薬の成分は光による影響を受けるものがあります。
光に影響を受けやすいものは、バイアルやアンプル、包装の袋が褐色であることが多いので、わかりやすいと思います。遮光袋を使ったりして、ある程度防ぐことができますが、開封後時間をかけずに投与できるものであれば、影響は誤差の範囲内なので、遮光袋なしで投与しても問題ないです。その薬が遮光なしで、どれくらいの時間安定なのかを調べましょう。
有名なものだと、ネオラミンマルチ、ブリプラチン(シスプラチン)などがあります。
温度が低下することによって、結晶ができる薬があります。
例として、マンニットールS(D-マンニトール)があり、室温5℃以下では結晶が出来てきます。しかしこの結晶は品質には影響がなく、40℃以上で5分間振とうすれば、溶解するようです。
輸液セットなどの素材に、塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル可塑剤(DEHP)といったものが使われています。薬によっては、PVCに収着、吸着したり、DEHPが溶出したりします。
溶出は文字の通り、「溶け出る」ということでわかると思いますが、「収着と吸着って何が違うんだろう?」となりませんでしたか?私の大学の卒業試験の問題に、この違いで引っかけるというクソ問題があったことを覚えています。問題自体は忘れましたが、吸着ではなく収着で×という問題だった記憶があります。当時「収着なんて言葉、まず知らねーよ!」ってなりました(笑)
吸着はイメージ通り、薬の成分が、容器や輸液セットの壁の表面上にくっついている状態です。
収着は、薬の成分が容器や輸液セットの壁の表面だけでなく、中まで食い込んでいるイメージになります。
正直、違いなんてどうでもいいと思うのですが、いかがでしょうか?
例として以下のようなものがあります。
ポリ塩化ビニル(PVC)への吸着
ポリ塩化ビニル可塑剤(DEHP)の溶出
対策
薬剤師側では、データや理論上の問題を未然に防ぐのが重要となります。もし病室を訪れる時があったら、点滴がどうなっているかもチェックできるといいですね。
看護師さん側は調製や実際の投与中の問題を防ぐことが重要となります。
お互いが協力しあうことで配合変化を防ぐことができるのです。