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前ページ、抗がん剤調製の基本。安全な作業準備を行う。では、調製までの準備を確認しました。今回は、バイアルや輸液バックへの針刺しや採取前までを見ていきます。

全体の流れとして、以下のようになります。
安全キャビネットに物を入れる前に、消毒していますが、調製直前にも再度消毒をします。バイアルや輸液バックを開栓した後に、ゴム栓部分を消毒します。アンプルであれば、首の部分を消毒します。
この時に、当院では使い捨ての消毒用のアルコール綿を使っています。アルコール綿も、もちろん拭く直前に外袋からあけて使い、拭く回数は1回だけで十分です。数回拭かないとなんとなく消毒できていない感覚になりますが、拭きすぎると、ゴム栓が劣化したり、ガーゼの一部がゴム栓部分に付着してしまうことがあります。

アルコール綿で消毒をしたら、消毒した部分が十分に乾燥するまで待ちましょう。乾く前に針刺しをすると、消毒液が混入してしまうおそれがあるからです。十分に乾燥と言いましたが、安全キャビネット内はエアーバリアで空気が循環しているので、じっと待つほどでもありません。
十分に乾いたら、いよいよ針刺しです。
バイアルから、液を採取するときには、シリンジにエアーを入れておきます。よほどのことがなければ、採取する量と同じくらいのエアーを入れれば間違えないでしょう。これによって、陰圧や陽圧が保たれ、採取しやすくなります。
輸液バックから液を採取する際には、シリンジにエアーを入れる必要はありません。
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針刺し事故に気を付けながら、慎重に針のキャップを外します。この時にどのような方法でもいいので、二段階で行いましょう。
これらの動作を一段階で行おうとすると、キャップを外そうとしているのに、勢い余って抜けた瞬間に、キャップを戻そうとする反射が起こる可能性があり、そのときに針を刺す可能性があります。
私は、シリンジ部分を右手、針のキャップ部分を左手で持ち、それぞれの小指がつくように持っています。その状態で、ねじねじしてロックを外し、針のキャップをそっと抜き取るようにしています。
バイアルや輸液バックは外側からアルミもしくはプラスチック部分、ゴム栓部分(針刺し不可)、ゴム栓部分(針刺し可)の3つに分かれています。もちろん真ん中の針刺し可能な部分に刺します。
また輸液ボトルや一部のバイアルについては、針が刺しやすいように丸くくぼんでいる穴があると思います。そのうちの一番真ん中以外のところに針を刺します。一番真ん中は点滴ルートにつなげるための穴なので、原則刺してはいけません。

調製をしていると、複数名の患者を同時並行で混ぜるケースもあるため、どのくぼみの穴に刺したかわからなくなってしまうことがあります。あとで述べますが、できれば同じ穴のくぼみに複数回針を刺すことは避けたいです。そういった場合ですが、私はラベルのセンター部分(薬液名)が書いてある面を安全キャビネットの下の面に向け、その状態での一番下にくるくぼみの穴から刺すようにしています。次に刺す場合があったら、そこから時計回りに刺すように私の中で決めてやっています。参考程度に。

コアリングとは、針を刺した時にゴム栓部分を削って、ゴム片などが薬剤の中に混入してしまうことです。ゴム片の大きさにもよりますが、コアリングをすると、液の中にふわふわ浮いているのが見える時があります。

注射針を斜めに刺すとコアリングの可能性が高まるので、バイアルや輸液バックに対してまっすぐ垂直に刺すことでリスクを下げられます。

バイアルや輸液バックに複数回、針を刺すことが想定される場合は、前回の針刺し付近からずらして刺しましょう。薬剤が漏れ出てくる可能性が高まります。近くを刺してしまうと、小さい穴が集まり、大きな穴になるイメージをしてもらえればわかるかと思います。
そして針をゴム栓部分に刺すと、肉眼ではほとんど見えないですが、針を刺した跡がゴム栓に残ります。このゴム栓の跡は針の入れ方によって形が変わります。針の刺し方がバラバラであると、針の刺した跡もバラバラとなり、ゴム栓部分の圧力のかかり方が微妙に変わってしまいます。そうすると、薬剤が漏れ出てくる可能性が高まってしまいます。よって、統一した方向で刺すことで、薬剤が漏れにくくなります。

よって複数回針を刺す場合は、ど真ん中ではなく、真ん中部分から少し端のほうにずらして針を刺します。だいたい3回も刺せば調製が終わると思うので、端の方→ど真ん中→端の方(最初とは反対の方)という順番に私は刺しています。