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ナトリウムの次はカリウムを見ていきます。
ナトリウムは主に細胞の外にあったのに対して、カリウムは細胞の中に主に存在しています。神経や筋肉が働くのに必要な電解質になるので、症状としては神経や筋肉に関連したものが多いです。
基準値は3.5〜5.0mEq/Lとなります。
カリウムは神経や筋肉が働くのに必要な電解質となるので、脱力や麻痺などが生じます。特に心臓への障害がこわいです。詳しくは割愛しますが、高カリウム血症では、心電図が特徴的な波形を示すことがあります。
覚える方法としては、「高価なテントで暮らすの延長。Pさんは消える」
ある人が、今はやりのグランピングをしていたのでしょう。高価なテントで居心地がよく、すっかりその魅力にはまってしまったので、暮らすのを延長を決めました。それに対して、隣人のPさんはお金も無くなってきたし、退居したという物語です。余談ですが、Pさんは私の先輩にそういうあだ名の人がいたので、友情出演させました。Pさんはいつも、「ピーピー」泣いていたのが所以です。以下省略。
よってカリウム値だけでなく、心電図でモニタリングすることが重要です。
原因としては主に3つにわけられます。
冒頭で、カリウムは細胞内に多く含まれるとお話ししました。その細胞内にいたカリウムが、細胞の外に出てくることによってカリウムが上昇します。
横紋筋融解症は、その名のとおり筋肉が溶けてしまう病気です。それによってカリウムが上昇します。薬の副作用で有名なのはスタチン系やフィブラート系の副作用ですね。
腫瘍崩壊症候群は、抗がん剤治療や放射線治療によって、腫瘍が崩壊する病気です。通常は壊されたがん細胞は、尿中排泄などでなくなりますが、排泄処理できる以上のがん細胞が壊れて血液中に存在しているために起こります。よってカリウムなどが上昇します。
アジソン病は前回のページ、ナトリウムと水分の関係でお話ししました。
念のため、もう一度復習します。アジソン病は、副腎皮質の機能が低下している病態です。副腎皮質では、アルドステロン、コルチゾール、アンドロゲンなどのホルモンを作っています。そのうちアルドステロンは鉱質コルチコイドとも呼ばれ、主にナトリウムを体内にため、カリウムを排泄する作用を持ちます。よってアジソン病でアルドステロンが減ると、カリウムの排泄が減り、体内でカリウムがたまります。
カリウム保持性利尿薬には、主にアルダクトンA(スピロノラクトン)、セララ(エプレレノン)、ソルダクトン(カンレノ酸カリウム)、トリテレン(トリアムテレン)などがあります。
詳しい作用機序は割愛しますが、トリテレン(トリアムテレン)は集合管でのNaチャネルを遮断することで、Na-K交換を抑制することによって、利尿が起こります。よって、ナトリウムは排泄されてカリウムは保持されるので、カリウムがたまります。
トリテレン(トリアムテレン)以外のアルダクトンA(スピロノラクトン)、セララ(エプレレノン)、ソルダクトン(カンレノ酸カリウム)については抗アルドステロン系と呼ばれ、先ほどアジソン病でお話ししたアルドステロンと競合しあって、アルドステロンの働きを減らします。つまりアジソン病と似たようなメカニズムが起こり、カリウムがたまります。
ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬やARB(アンギオテンシンUAT1受容体遮断薬)は、レニンアンギオテンシンアルドステロン系の途中経路を阻害します。先ほどアルドステロンが増えると、カリウムが減ると言いました。よってACEやARBによって、アルドステロンが減ると、カリウムは増えます。
溶血が起こっていると、カリウムが上昇しますが、これはそこまで問題になりません。だから、カリウムが高いというのを見るだけでなく、血球が壊れたときに一緒にあがる項目をみる必要があります。特にLDH(Lactate Dehydrogenase);乳酸デヒドロゲナーゼが一緒に上昇するので、一緒にみる癖をつけましょう。
GI療法を理解するには、まずインスリンの作用を知る必要があります。血糖値を下げるイメージはお持ちだと思います。これは血中にあるグルコースを細胞内に取り込むことによって血糖値が下がるわけですが、取り込む際にはカリウムと一緒に細胞内に取り込まれます。これを使った治療法です。ただインスリンだけ投与してしまうと、本来の作用である血糖降下作用がでてしまうために、グルコースも一緒に投与します。
次にメイロン(炭酸水素ナトリウム)の投与ですが、これは炭酸水素ナトリウムは解離すると、重炭酸イオンを発生します。重炭酸イオンは塩基性を示すので、pHが上昇することになります。そうすると体がpHのバランスを元に戻そうとして、細胞内から水素イオン(H+)を出します。今度は体は、外に出てしまったH+の電解質的なバランスを戻そうとして、細胞外にあるK+を細胞内に戻そうとする。というメカニズムによるものです。あまり推奨はされていないようですが、医師によっては選択する医師もいます。
これらのGI療法と、メイロン(炭酸水素ナトリウム)による治療は一時的に細胞内にカリウムをしまい、下げている状態になるので、根本的な治療にはなっていません。
そこで、カリメート(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)やケイキサレート(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)でカリウムを捕まえたり、ラシックス(フロセミド)などで排泄させます。
その他、心停止予防のために、カルチコール(グルコン酸カルシウム)を投与したりもします。
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低カリウムでも症状は、神経や筋肉に障害がでます。特に不整脈に注意が必要です。
心電図では以下の特徴が出てきます。
こちらの覚え方は「youさん出現!定価は?ST下がり、Tは横ばい」
youさんがいきなり現れて、マネージャーに「定価は?」と聞きます。マネージャーは「STが下がって、Tは横ばいです。」と答える物語です。STとTが何をさすかは謎です。ゴリ押しで覚えてください。
少し捕捉を。
クッシング症候群は、副腎皮質からヒドロコルチゾンやコルチゾールといった糖質コルチコイドが過剰分泌している状態になります。これらの糖質コルチコイドは鉱質コルチコイドより比べて弱いですが、似た作用を持ちます。よって、ナトリウムはためて、カリウムを排泄することになるので、低カリウムを起こす可能性があります。
生薬の中で、甘草を含む漢方でも低カリウムを起こす可能性があります。これは甘草の成分の、グリチルリチン酸によるものです。グリチルリチン酸は糖質コルチコイド作用を持つため、先ほどのクッシング症候群と同じようなことになります。多くの漢方に甘草が入っているので、注意が必要です。
ループ系利尿薬では、先ほどもありましたが、ラシックス(フロセミド)などが原因となります。
アルドステロン症も前回のページ、ナトリウムと水分の関係でお話ししました。アルドステロンが多くなってしまうことによって、ナトリウムはたまり、カリウムが排泄されやすくなります。
カリウムの補充。可能であれば経口投与します。緊急時であれば、点滴を考慮しますが、緊急時だと焦って単独で静脈注射をしてしまう危険性があるので注意が必要です。また速度や濃度に気をつけて補充をしていきます。これも前回のページで述べたので割愛します。