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アシドーシス、アルカローシスを読み取る
前回ページ、酸・塩基。アシドーシス、アルカローシス。では、アシドーシスとアルカローシスを知るうえで、呼吸性なのか代謝性なのかを考えることが重要とお話ししました。
難しく思うかもしれませんが、順に考えていけば大丈夫です。流れとしては、
- アシデミアorアルカレミアを判別する。
- アシドーシスorアルカローシスを判別し、代謝性or呼吸性なのかを判別する。
- 代償性変化をとらえる。
となります。
@アシデミアorアルカレミアを判別する。
前回でもお話ししたように、これはpHから判断すればOKです。
- pH<7.35;アシデミア
- pH>7.45;アルカレミア
Aアシドーシスorアルカローシスを判別し、代謝性or呼吸性なのかを判別する。
PaCO2とHCO3-
酸塩基の平衡を考える上で、重要な検査項目があります。それは、PaCO2、HCO3-の2つです。
PaCO2は動脈血二酸化炭素分圧と呼ばれ、血液中に二酸化炭素がどれくらい含まれているかを示します。基準値が40Torr前後となります。ここでは、40という数字を意識して下さい。
HCO3-は血液中の重炭酸イオン濃度のことです。前ページで腎臓が産生などに関わるお話をしました。基準値は24mEq/L前後となります。ここでは、24という数字を意識して下さい。
ゴロ合わせで、「西のじゅうたんで、40パコパコ」と覚えてください。
- 西;24mEq/L
- じゅうたん;重炭酸イオン
- 40;40Torr
- パコパコ;PaCO2
夜中起きると、何やら声が聞こえてきます。西にあるじゅうたんから聞こえてきます。40回パコパコが終わったら、声が終わりました。ご想像にお任せします。
ヘンダーソンハッセルバルヒの式
次に、考えなくてはならないのはpH=pKa+logHCO3-/PaCO2の式です。(logの分子はHCO3-でlogの分母はPaCO2です。)
これはヘンダーソンハッセルバルヒの式と呼ばれるもので、式変形に関しては省略します。正しい式は小数点がついたりして違いますので、ここではこの式を使った考え方を理解してください。
pKaは定数で、数字は決まった数字が入るので、式全体に影響を与えないと考え、無視します。そうすると、pH=logHCO3-/PaCO2と考えることができます。
この簡略化された式において、pHが7.3に下がったとしましょう。そうすると、式を保つためには、分子が下がるか、分母が上がることになります。つまり、アシデミアでpHが7.3になったとすると、HCO3-が24より下がるか、PaCO2が40より上がることになります。
同様にアルカレミアとなり、pHが7.5となった場合は、HCO3-が24より上がり、PaCO2が40より下がることになります。
Aの小括
頭がこんがらがってくると思うので、一回まとめると、
@の判断の結果、アシデミアのとき
- HCO3-<24;代謝性アシドーシス
- PaCO2>40;呼吸性アシドーシス
@の判断の結果、アルカレミアのとき
- HCO3->24;代謝性アルカローシス
- PaCO2<40;呼吸性アルカローシス
と考えることができます。ここは難しいので、何回も読んで理解してください。
B代償性変化をとらえる。
ここまでくれば、もうひと踏ん張りです。
pHが下がると、下がりっぱなしでは死んでしまいます。そのため、もとに戻そうと頑張るのが、代償性変化になります。基本的には代謝性がダメなら、呼吸性で代わりに調節します。呼吸性がダメなら代謝性で調節となるので、以下のようになります。
@の判断の結果、アシデミアのとき
- HCO3-<24;代謝性アシドーシス→代償性変化として、呼吸性で調節(PaCO2の減少)
- PaCO2>40;呼吸性アシドーシス→代償性変化として、代謝性で調節(HCO3-の増加)
@の判断の結果、アルカレミアのとき
- HCO3->24;代謝性アルカローシス代償性変化として、呼吸性で調節(PaCO2の増加)
- PaCO2<40;呼吸性アルカローシス→代償性変化として、代謝性で調節(HCO3-の減少)
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尿pH
血液ガスの他にも尿のpHもアシドーシスやアルカローシスの判断材料になります。
尿pHとは、その名の通り尿のpHを示すものになります。pHは小学生や中学生の時にやった、いわゆる酸性や塩基性ってやつです。pH7.0を基準にして、7.0より低いと酸性、7.0より高いと塩基性と教わったと思います。
では尿のpHはどのようになっているのでしょうか?
尿pHの基準値
- 5.0〜7.5
尿のpHは中性かと思いきや、6.0前後と弱酸性なんです。
尿pHは呼吸や運動、それに食事などの影響を受けて日々変動していきます。睡眠中は肺のガス交換が下がり、二酸化炭素がたまり酸性に傾くと言われています。また運動では、「乳酸がたまった」などと言うように、これも酸性に傾くと言われています。総じて、尿pHは弱酸性に傾きやすくなるのです。
尿が弱酸性でpH6.0くらいというのを知っておけば、がっちり5.0〜7.5と覚えなくても、酸性、塩基性どちらに傾いているのかはわかるので、それでいいと思います。どうしても、モヤモヤする人は、6.0プラスマイナス1.5として、4.5〜7.5と覚えてもいいかもしれません。
尿pHが塩基性であればアルカローシス、酸性であればアシドーシスの可能性が高まります。
例題
血液ガスの所見が出ました。pH=7.31,PaCO2=27、HCO3-=15
- アシデミアかアルカレミアか判断しなさい。
- アシドーシスかアルカローシスか判断しなさい。また代謝性か呼吸性か判断しなさい。
アシデミアかアルカレミアか判断しなさい。
pHが7.31ということで、7.4より下がっているので、アシデミアとなります。
アシドーシスかアルカローシスか判断しなさい。また代謝性か呼吸性か判断しなさい。
pH=logHCO3-/PaCO2を考えたら、pHがアシデミアで下がっているので、分子が下がるか、分母が上がるしかないです。
西のじゅうたんで、40パコパコを元に考えましょう。
まず分子です。HCO3-=15なので24よりか下になっています。分子が下がっています。
それに対して、分母はどうでしょうか?PaCO2=27なので、40よりか下になっています。アシデミアでは分母は上がらなくてはいけないので、こっちは代償性反応と考えることができます。
よって、代謝性アシドーシスと考えることができます。またその結果代償性反応として、呼吸性の代償が起こっている。となります。
いかがでしたか?実際の現場では単純なケースはないかもしれませんが、基本的な考え方を覚えておくにこしたことはありません。
何度も読み直して、ぜひ身につけてください。
まとめ
- アシデミアorアルカレミアを判別する。
- アシドーシスorアルカローシスを判別し、代謝性or呼吸性なのかを判別する。
- 代償性変化をとらえる。
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