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前ページ、アシドーシス、アルカローシスの原因、症状、治療の一つの項目に代謝性アシドーシスがありました。代謝性アシドーシスの原因を鑑別する一つの方法として、アニオンギャップ(AG)があります。
アニオンは陰イオンのことを指すので、陰イオンの差という意味になります。今回はアニオンギャップについてみてみます。
カルテなどを見ると、日頃の検査値で出ているのは、ナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)、クロルイオン(Cl-)や重炭酸イオン(HCO3-)ではないでしょうか。
細胞外液で、陽イオンで一番多くの割合を占めているのはナトリウムイオン(Na+)です。・・・★
それに対して、細胞外液で、陰イオンで一番多くの割合を占めているのはクロルイオン(Cl-)、次に重炭酸イオン(HCO3-)です。その他に、リン酸や硫酸、乳酸などの陰イオンがごくわずかの割合で存在しています。・・・*
通常、細胞外液の陽イオンと陰イオンの総量は等しいので、陽イオン=陰イオンが成り立つわけです。他にもイオンがあり、正確ではありませんが、わかりやすくするため、このまま上記のイオン★と*を当てはめて、式変形をしてみます。
陽イオン=陰イオン
ナトリウムイオン(Na+)=クロルイオン(Cl-)+重炭酸イオン(HCO3-)+リン酸、硫酸、乳酸など
という式になります。できた式をさらに移項すると、
リン酸、硫酸、乳酸など=ナトリウムイオン(Na+)-{クロルイオン(Cl-)+重炭酸イオン(HCO3-)}
という式になります。そろそろお気づきだと思いますが、この式における、リン酸、硫酸、乳酸がアニオンギャップになります。つまりアニオンギャップで、普段検査値で測定される機会が少ない未知の陰イオンがどうなっているかを推測することができます。
アニオンギャップ(AG)=ナトリウムイオン(Na+)-{クロルイオン(Cl-)+重炭酸イオン(HCO3-)}
アニオンギャップは通常10〜15mEq/Lで、アニオンギャップ(AG)正常型か、アニオンギャップ(AG)増加型かの2つにわけられます。
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アニオンギャップ(AG)が正常ということは未知の陰イオンは増えていない状態です。
未知の陰イオンが増えている状態です。
このようにして、鑑別する際の1つの手段としてアニオンギャップがあります。