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ライゾデグ(インスリンデグルデク/インスリンアスパルト)は、混合型インスリンであり、トレシーバ(インスリンデグルデク)とノボラピッド(インスリンアスパルト)が7:3のモル比で配合された注射剤である。
混合型インスリンは中間型インスリンが混ざっているものもあり混和作業が必要な場合もあるが、ライゾデグ(インスリンデグルデク/インスリンアスパルト)は混和作業不要なので患者の負担も減っている。
ライゾデグ(インスリンデグルデク/インスリンアスパルト)に関して、インスリン療法についてまとめておく。インスリンで治療するにあたって目標となるのが、糖尿病合併症予防で重要な空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満となる。そしてこれを達成するための考え方の1つに責任インスリンがある。
責任インスリンは血糖値を測定した時に、どのタイミングで打ったインスリンが影響を与えているかという考え方である。
例えば持効型と超速効型のインスリンを使っている患者が、朝食前、昼食前、夕食前、寝る前という4回血糖値を測定してたとする。この時それぞれのタイミングで影響を与える責任インスリンは以下のようになる。
朝食前のタイミングでは夕に打った超速効型の効果は途切れているため、持効型が影響を与える。
次に昼食前では、朝に打った超速効型がピークを過ぎて下がってきてはいるものの昼の測定時には影響を与える。残りの時間帯は同じように考える。これを踏まえたうえで、インスリンの単位をどうするのか考える。
例えば、朝食前の血糖値と昼食前の血糖値の差を考えた時に以下の3パターンが考えられる。
これらをもとに責任インスリンの単位を増減すると考えていく。
次にインスリン療法の種類についてまとめておく。インスリン療法の主なものには以下のようなものがある
BBTはBasal Bolus Therapyの略で、強化インスリン療法などと呼ばれることもある。
BBTは、基礎インスリンを1回、追加インスリンを3回打つような治療方法である。
BBTは1型糖尿病などインスリン依存状態や、糖毒性(高血糖が続くことによりインスリンの分泌や感受性が低下すること)の改善する場合などに行われる。
BBTのメリットは生理的なインスリン分泌に最も近い形になることや、インスリンの調整がしやすいことがあげられる。
BBTのデメリットは1日4回の注射をしなければならないので患者負担が大きいことや、2種類インスリンを使うため打ち間違えてしまう可能性などがある。
BOTはBasal supported Oral Therapyの略で、基礎インスリンと経口血糖降下薬との併用療法などと呼ばれることもある。
BOTは経口血糖降下薬と、基礎インスリン1回打つような治療方法である。
BOTは経口血糖降下薬を使っていても十分な血糖コントロールが不良な場合などに行われる。
BOTのメリットは1日1回の注射で済むこと、基礎インスリンであるため低血糖リスクが少ない、BOT以外のインスリンの打つ回数が多いものに移行させやすい(インスリン1回しか打たないので、患者としては許容させやすい)などがある。
BOTのデメリットは基礎インスリンであるため(追加インスリンでないため)、食後高血糖を是正しにくいことである。
配合溶解型(または混合型)2回注射は、その名の通りライゾデグ(インスリンデグルデク/インスリンアスパルト)などの配合溶解型(または混合型)を2回注射する治療方法である。
配合溶解型(または混合型)2回注射は2回注射なので、先ほどのBOTの次の段階として行われたり、BBTが困難な場合などに行われる。
配合溶解型(または混合型)2回注射のメリットは1種類で基礎インスリンと追加インスリンを補えることである。
配合溶解型(または混合型)2回注射のデメリットは中間型インスリンの場合は混和作業が必要であったり、単位調整がしにくいところである。
基礎インスリン+GLP-1アナログは、基礎インスリンを1回打ち、GLP-1アナログを打つ治療方法である。
基礎インスリン+GLP-1アナログは、BOTの次の段階として行われたり、BBTが困難な場合などに行われる。
基礎インスリン+GLP-1アナログのメリットは超速効型インスリンを用いるBBTと比べて、GLP-1アナログが入っていることで低血糖リスクが低いことや、食後高血糖や体重増加の改善などが期待できることである。
基礎インスリン+GLP-1アナログのデメリットはGLP-1アナログがお金が高いため経済的な意味で患者負担があがることである。