薬剤調製料の加算のうち、まれに同時算定ができることがあるもののまとめ

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薬剤調製料の加算、同時算定できるもののまとめ

前回は調剤料について確認しました。今回は薬剤調製料の加算についてまとめます。

 

 

薬剤調製料の加算には以下のようなものがあります。

 

  • 麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚せい剤原料、毒薬);70点、8点、8点、8点
  • 時間外、休日、深夜加算;基準額の100%、140%、200%
  • 夜間・休日等加算;処方箋受付1回につき40点
  • 自家製剤加算(内服薬。錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤);1調剤につき20点/7日分
  • 自家製剤加算(内服薬。液剤);1調剤につき45点
  • 自家製剤加算(頓服薬。錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤);1調剤につき90点
  • 自家製剤加算(頓服薬。液剤);1調剤につき45点
  • 自家製剤加算(トローチ剤、軟膏、パップ剤、リニメント剤、坐薬);1調剤につき90点
  • 自家製剤加算(点眼薬、点鼻薬、点耳薬、浣腸剤);1調剤につき75点
  • 自家製剤加算(外用薬。液剤);1調剤につき45点
  • 計量混合調剤加算(液剤);1調剤につき35点
  • 計量混合調剤加算(散剤、顆粒剤);1調剤につき45点
  • 計量混合調剤加算(軟膏);80点
  • 嚥下困難者用製剤加算;80点
  • 無菌製剤処理加算(中心静脈栄養法輸液、麻薬);6歳以上69点/日、6歳未満137点/日
  • 無菌製剤処理加算(抗悪性腫瘍剤);6歳以上79点/日、6歳未満147点/日
  • 在宅患者調剤加算;処方箋受付1回につき15点

 

麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚せい剤原料、毒薬)

品目数や投与日数に関係なく、1調剤につき算定します。

 

もし麻薬と向精神薬などが同時に含まれている処方箋の場合は麻薬加算の70点のみ算定できます。

 

同様に向精神薬、覚せい剤原料、毒薬が同時に含まれている処方箋の場合は8点を算定します。

 

1剤と1調剤の違い

ただややこしいのが、1調剤という考え方です。ここで1剤と1調剤の違いについてまとめておきます。前回「1剤」について確認しましたが、「1調剤」はまた別物です。

 

例えば、

 

  • A麻薬 3T 3x毎食後 10日分
  • B向精神薬 3T 3x毎食後 10日分

 

この場合は、1剤として考えるのでしたね。そして、投与日数も同じであるため1調剤ともみなします。よって、この場合は麻薬加算の70点のみ算定となります。

 

では次のパターンを見てみます。

 

  • A麻薬 3T 3x毎食後 10日分
  • B向精神薬 3T 3x毎食後 5日分

 

まずこれも服用時点や服用方法が一緒なので1剤です。しかし、調剤は投与日数が異なると、それぞれ1調剤という行為になるため、この場合は別調剤として考えます。よって、麻薬加算70点と向精神薬加算8点算定できることになります。

 

 

時間外、休日、深夜加算

時間外、休日、深夜加算は一度閉店した薬局をわざわざ開け直して、調剤した場合などにとれる加算であるため、めったにとれないことをまずイメージしてください。

 

時間外加算は、保険薬局が掲示している開局時間以外の時間で深夜を除いた時間帯に調剤したときの加算です。例えば、19時に閉店して、完全撤収したとします。20時に患者さんから電話があり、どうしても薬が欲しいと言われ、再び出勤して調剤したときなどがそうです。

 

 

休日加算は、日曜日、祝日、振替休日、12月29〜1/3に調剤したときの加算です。これも先ほどと同様に、例えば1/1にお正月を楽しんでいたところに患者さんから電話がかかってきて、急遽出勤し調剤したときに加算がとれます。

 

深夜加算も時間外加算と同様です。時間は基本的に、午後22時〜午前6時が深夜とされています。

 

加算率

時間外加算、休日加算、深夜加算は調剤料にそれぞれの加算率を乗じて計算されます。

 

気をつけておきたいのが、薬剤調製料に加算が入ってくる場合です。無菌製剤処理加算在宅患者調剤加算は乗じる点数に入りますが、それ以外の薬剤調製料の加算は乗じる対象となりません。

 

あと当然ですが、時間外加算と休日加算と深夜加算は重複できないので、どれか点数が高いもの1つのみを算定します。

 

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夜間・休日等加算

さきほどの加算に対して、夜間・休日等加算は、薬局を開いているときに、この時間帯に突入し調剤をしたときに加算がとれます。

 

対象となる時間帯は基本的に平日は、午前0時から午前8時と午後7時から午前0時です。土曜日は午前0時から午前8時と午後1時から午前0時です。

 

なお開局時間を掲示することが算定条件となっているので、注意しましょう。

 

自家製剤加算

市販されている医薬品の剤形では対応できないとき医師の指示に基づいて服用できるように工夫を行ったときにとれる加算です。ここでいう工夫は、添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌などがあります。一番身近な例では、錠剤を粉砕して散剤にするなど、剤形が変わったときに算定できるイメージになります。

 

 

その他錠剤を医師の指示に基づき分割した場合も算定できます。ただし先ほども述べたように分割したものに該当する既製品があるなら算定はできません。錠剤を分割する場合や、余製剤の場合は所定点数の100分の20を加算します。

 

なお計量混合加算や、外来服薬支援料2との同時算定は基本的にできないので注意しましょう。

 

計量混合調剤加算

薬価収載されている2種類以上の薬剤を計量し、混合した場合に加算がとれます。これも自家製剤加算と同様に、計量混合したものがすでに薬価収載されている場合は算定できません。

 

 

そして、計量混合調剤加算も余製剤の場合は所定点数の100分の20を加算します。また自家製剤加算や、外来服薬支援料2と基本的には同時に算定できません。

 

嚥下困難者用製剤加算

嚥下障害等があって、市販されている剤形では内服が困難な患者に対して、医師の了解を得た上で加工した場合に算定できます。

 

ここでいう工夫は、例えば脱カプセルや粉砕などがあります。患者の訴えのみでは算定できないので注意が必要です。

 

なお嚥下困難者用製剤加算は、外来服薬支援料2、自家製剤加算、計量混合調剤加算との同時算定はできません。

 

ここまでやると、どれとどれが同時算定できないのかがわからなくなるため、まとめておきます。気をつけてほしいのは、基本的には同時算定できないので、同時算定できる可能性があるくらいに思っておいてください

 

 

無菌製剤処理加算

無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等で、無菌的な製剤を調整したときに算定できます。無菌製剤処理加算には施設基準に適合しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出が必要です。

 

なお無菌製剤処理加算に関する施設基準は、次のようなものがあります。

 

  • 2名以上の薬剤師がいること、そのうち1名は常勤であること
  • 無菌室またはクリーンベンチ又は安全キャビネットがあること

 

在宅患者調剤加算

施設基準に適合しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局が算定可能となっています。

 

施設基準は以下のようなものがあります。

 

  • 地方厚生(支)局長に対して、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届けてていること
  • 在宅患者の実績として、直近1年間の在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費および介護予防居宅療養管理指導費の算定回数が、合算して10回以上であること
  • 緊急時等の開局時間以外の時間に対応できる体制が整備されていること
  • 在宅業務実施体制に関わる周知を自ら又は地域の薬剤師会などを通じて十分に行っていること
  • 研修実施計画を作成し、研修するとともに、定期的に在宅業務に関わる学術研修を受けさせていること。
  • 医療材料および衛生材料を供給できる体制があること
  • 麻薬小売業者の免許を持ち、必要な指導を行うことができること

 

まとめ

  • 調剤料の加算は色々あるため、間違えずに覚えましょう。

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