保険証には保険番号があり、自己負担割合は年齢や所得によって異なる。

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保険番号、保険証と自己負担割合

前ページ、保険薬局、レセプトと審査支払機関の流れでは、保険料を納めて保険証をもらっているという話をしました。今回は保険証についてまとめてみます。

 

もし自分の保険証があれば、見てみるとわかりやすいかもしれません。

 

保険者番号

保険証にはいくつかの記載事項がありますが、その中で保険者番号というものがあると思います。保険者番号は、保険者ごとに割り当てられた固有の番号であり、8桁6桁が書かれています。8桁であれば社保、6桁であれば国保となります。

 

 

ざっくりとしていますが、会社や官公庁、学校などで働いている人は社保になります。それに対して、国保は自営業者などが該当します。

 

例えば社保の8桁は、以下のような構成となっています。

 

  • 法別番号(2桁)
  • 都道府県番号(2桁)
  • 保険者別番号(3桁)
  • 検証番号(1桁)

 

 

国保は法別番号がないため、6桁となります。

 

法別番号(2桁)

医療保険の制度を表しています。

 

都道府県番号(2桁)

保険者の都道府県を表しています。北海道を01として、沖縄の47まで数字があります。

 

保険者別番号(3桁)

各都道府県別に保険者の設立順に保険者を表しています。

 

検証番号(1桁)

保険者番号にミスがないかを確認できる番号です。

 

では、この保険証を使って実際に窓口で支払うお金はどのように決まっているのでしょうか?

 

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自己負担割合

皆保険制度であるため、一部の金額を窓口で払えばお会計が完了となります。しかし、自己負担の割合は年齢や所得によって異なります。

 

  • 0歳〜小学校未就学;2割
  • 小学校就学〜69歳;3割
  • 70歳〜74歳;1〜3割
  • 75歳以上;1割or3割

 

 

75歳以上は基本的には1割となりますが、お金持ち(現役並みの所得がある人)は3割負担となります。

 

70〜74歳は基本的には2割で、お金持ちは変わらず3割負担となります。しかしやや複雑で、平成26年3月31までに70歳となった人は1割負担になります。

 

高額療養費制度

風邪などであれば、よほどのことがない限り、お金が払えなくなるということはありません。しかし他の病気の治療内容では、とても高額なことがあります。高額であると金銭的に治療を継続するのが困難となってしまうことがあります。

 

そういったことを防ぐために高額療養費制度があります。支払った金額がひと月の中で、一定額を超えた場合は本人が申請することによって差額分が返ってくる制度です。

 

自己負担の限度額も年齢や所得に応じて決まっています。

 

在宅業務

通院困難な患者に対して、医師の指示のもと在宅業務を行います。在宅業務を行うともちろんお金がもらえるわけですが、これも少しややこしい制度となっています。

 

 

在宅をする患者が、介護保険に入っているかいないかで変わり、以下のようになっています。

 

  • 介護保険あり;居宅療養管理指導費
  • 介護保険なし;在宅患者訪問薬剤管理指導料

 

どちらも業務内容は変わらず、名前だけ異なります。どちらも、建物と人数によって点数が変わってきます。例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だと、1つの建物で多くの対象患者がいるため、効率がいいわけです。それに対して、普通の一軒家に住んでいる家を何件も訪問するというのは効率が悪いわけです。これを同じ点数にしてしまうと、前者の方ばかりとなってしまいます。そのため、後者の方が点数が高いです。

 

算定する回数は患者一人につき、月4回までで、月に2回以上算定する場合は、6日以上あける必要があります。ただし、がん末期患者、中心静脈栄養をしている患者は1週間に2回、かつ月8回まで算定することができます。日数をあける制限もありません。

 

公費負担

一部の患者さんは公費によって支払いが行われます。公費負担が行われるのは、公費手帳に書かれた疾患のみが原則対象となります。公費負担とわかりやすいように、保険者番号同様、公費負担者番号があります。

 

公費負担者番号のはじめの2桁も法別番号となっており、ここに注目することで区分がわかります。おおまかに以下のようなものがあります。

 

  • 10;結核
  • 12;生活保護
  • 13、14;戦傷病者
  • 15、16、21;障がい者
  • 18、19;原爆被害者
  • 23;養育医療

 

公費負担医療を受ける場合には、法律によって取り扱う薬局の指定を受けなければならないものがあります。主なものは以下のものです。

 

指定薬局
  • 結核
  • 生活保護
  • 障がい者
  • 戦傷病者
  • 原爆被害者
  • 難病
  • 小児慢性特定疾患

 

契約保険医療
  • 肝炎治療特別促進事業

 

今回これらの公費負担医療のうち、薬局の現場でよくみかける生活保護と公害医療についてもう少し細かく見てみます

 

生活保護

生活保護の患者には他の公費負担医療のように医療受給者証が発行されるわけではなく、調剤券が発行されます。

 

 

生活保護の調剤券が発行される手順としてはまず福祉事務所長に申請をを行います。申請を受けた福祉事務所長は指定医療機関に要否意見書を作り指定医療機関に調剤券を発行してよいか意見を聞きます。

 

要否意見書を受けた指定医療機関は、調剤券を発行してよいか判断して再び福祉事務所長に要否意見書を提出します。そして福祉事務所長は患者に調剤券を発行します。

 

調剤券には以下のような項目が記載されています。

 

  • 公費負担者番号や受給者番号
  • 氏名、年齢
  • 指定機関名
  • 有効期間

 

指定機関名のところに薬局が書かれているので、患者は指定された薬局に調剤券を提出します。

 

公害医療

公害医療は大気汚染などの公害による疾患に対する医療制度です。認定を受けた患者には公害医療手帳が交付されます。

 

公害医療手帳に記載された疾病やそれに関連する症状に対しては公費負担の対象となりますが、公害に関するもの以外は他の保険の適応となるので注意が必要です。

 

公害医療は、先ほどの生活保護のような指定機関名などはないので、どの薬局でも取り扱うことができます。

 

はじめのうちは、指導が終わって、「あれ領収書、お会計は?」と焦ることがあるので知っておくと便利でしょう。

 

まとめ

  • 保険証には保険者番号があり、そこに様々な情報が載っている。
  • 保険者番号は、社保は8桁、国保は6桁となっている。
  • 保険者番号は、法別番号、都道府県番号、保険者別番号、検証番号などからなる。
  • 自己負担割合や高額療養費制度は、年齢と所得によって異なる。

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