麻薬及び向精神薬取締法、管理や記録

Sponsored Link

麻薬及び向精神薬取締法、向精神薬の譲渡や廃棄

前回の麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の管理や廃棄までで麻薬に関するルールを見てきました。今回は向精神薬についてみていきたいと思います。軽視するわけではありませんが、麻薬より厳しいルールではないので、今回は一気にまとめてみていきます。

 

 

向精神薬取扱者とは

麻薬取扱者と同様に、向精神薬を取り扱うことができるものを向精神薬取扱者と言い、病院等の開設者も含め以下のような種類があります。

 

  • 向精神薬輸入業者;厚生労働大臣の免許を受けて、向精神薬を輸入することを業とする者
  • 向精神薬輸出業者;厚生労働大臣の免許を受けて、向精神薬を輸出することを業とする者
  • 向精神薬製造製剤業者;厚生労働大臣の免許を受けて、向精神薬を製造、製剤、又は向精神薬を小分けすることを業とする者
  • 向精神薬使用業者;厚生労働大臣の免許を受けて、向精神薬に化学的変化を加えて向精神薬以外の物にすることを業とする者
  • 向精神薬卸売業者;都道府県知事の免許を受けて、向精神薬取扱者に向精神薬を譲り渡すことを業とする者
  • 向精神薬小売業者;都道府県知事の免許を受けて、向精神薬を記載した処方せんにより調剤された向精神薬を譲り渡すことを業とする者
  • 向精神薬試験研究施設設置者;学術研究又は試験検査のため向精神薬を製造し、又は使用する施設の設置者であつて、厚生労働大臣又は都道府県知事の登録を受けたもの

 

 

麻薬の流通ルートと同様に、向精神薬の流通ルートの図とともに覚えましょう。麻薬の流通ルートを覚えていればほぼ一緒となのでまとめるまでもないですが、向精神薬の流通ルートのポイントは以下の3つです。

 

  • 向精神薬小売業者がいわゆる薬局となります。流通ルートのうち、向精神薬製造製剤業者より上流が厚生労働大臣の免許、向精神薬卸売業者より下流が都道府県知事の免許となります。
  • 薬事法にもとづいて薬局開設許可を受けると向精神薬卸売業者と向精神薬小売業者の免許を受けたものとみなされます。
  • 薬事法にもとづいて医薬品卸売販売業許可を受けると向精神薬卸売業者の免許を受けたものとみなされます。

 

要するに薬局や卸は、開くとみなし免許を受けることができるということです。

 

Sponsored Link

Sponsored Link


 

向精神薬の輸出入

向精神薬輸入業者や向精神薬輸出業者が第一種向精神薬を輸出入しようとする時はその都度厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。

 

ただし、自己の疾病の治療を目的とする場合は一定量以下であれば手続きなく向精神薬をもって出入国できます。

 

向精神薬の譲渡や譲受

向精神薬小売業者は、向精神薬処方せんを所持する者以外の者に向精神薬を譲り渡してはならない。ただし、向精神薬営業者から譲り受けた向精神薬を返品する場合その他厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 

つまり、薬局間での向精神薬の譲渡や譲受は認められていません

 

向精神薬の保管や記録

向精神薬の保管は、必要な注意をする場合を除き、かぎをかけて保管しなればならないとされています。つまり薬局営業中で薬剤師が監視できている間はかぎをかけなくていいですが、薬局を閉めている時など薬剤師が監視できない時はかぎをかけて保管してねということになります。

 

向精神薬の記録に関しては、基本的に行う必要がありません。なぜならば処方箋により調剤された向精神薬、第三種向精神薬は除かれるからです。

 

処方箋によらない第一種向精神薬、第二種向精神薬の譲受や譲渡、廃棄の場合は記録が必要となります。

 

向精神薬の廃棄

向精神薬の廃棄は回収困難な方法で行えば、届け出や立ち合いの義務などはありません

 

向精神薬の事故

向精神薬取扱者の一定数量以上の事故(滅失、盗取、所在不明その他の事故)だった場合、免許権者に届け出が必要となります。

 

まとめ

  • 向精神薬の薬局間の譲受や譲渡は認められていない
  • 向精神薬の廃棄は届出や立ち合いの義務はない

就職や転職でお悩みの方はコチラ!私はここで年収120万円上がりました

Sponsored Link

麻薬及び向精神薬取締法、向精神薬の譲渡や廃棄 関連ページ

ヒポクラテスの誓い、ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言とは?
過去の歴史から、ヒポクラテスの誓い、ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言などの医療倫理に関わる規定が作られ、インフォームドコンセントのもととなりました。
薬剤師網領、薬剤師倫理規定、国際薬剤師・薬学連合薬剤師倫理規定、薬局業務運営ガイドラインとは?
薬剤師の倫理に関わるものには、薬剤師網領、薬剤師倫理規定、国際薬剤師・薬学連合薬剤師倫理規定、薬局業務運営ガイドラインなどがあります。
薬剤師が関わる法的責任のまとめ
薬剤師が関わる法的責任には、民事責任、刑事責任、行政法上の責任などがあります。民事責任では不法行為責任、債務不履行責任が、刑事責任では業務上過失致死傷罪、秘密漏示罪などがあります。
個人情報の保護に関する法律
個人情報の保護に関する法律では、個人情報は生存する個人に関する情報と定められています。また、個人情報を得る場合は事前に本人に知らせることが定められています。
薬剤師をとりまく法の構成
法の構成は憲法を頂点としたピラミッド型となっていて、上位のルールに反するものは無効です。法律は国会、政令は内閣、省令は各省大臣、条例は地方自治体で定められます。
薬機法総論
薬機法の目的とは医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質、有効性、安全性の確保などを通して、保健衛生の向上を図ることです。
薬機法、薬局の定義と開設許可
薬機法では薬局は医薬品の調剤と販売をするところと定義されています。薬局の開設には都道府県知事の許可が必要で有効期間は6年です。
薬機法、薬局の開設者と管理者
薬局の開設者は薬剤師でなくてもなることができるが、薬局の管理者は薬剤師でなければならないと薬機法で決められています。また薬局の管理者はその他の薬関係の仕事を兼業することが禁止されています。
薬機法、一般用医薬品の違い
第一類医薬品は薬剤師のみ販売でき、文書などでの情報提供が必要です。第三類医薬品は情報提供に関する規定はないのが違いです。第三類医薬品はネット販売もできますが都道府県知事の許可が必要です。
薬機法、製造販売業の許可
製造販売業の許可は厚生労働大臣に受け、5年ごとに更新が必要です。製造販売業の許可基準には、GQP、GVP、申請者の人的要件などがあります。
薬機法、製造業の許可
製造業の許可は厚生労働大臣が、厚生労働省令で定める区分に従い、厚生労働大臣が製造所ごとに与えます。更新は5年ごとです。製造業の許可基準に、構造設備や申請者の人的要件などがあります。
薬機法、製造販売の承認
製造販売の承認は品目ごとに厚生労働大臣が与えるが、薬事食品衛生審議会の意見を聞いて行います。製造販売の承認基準には製造販売業の許可、製造業の許可、品質有効性安全性、GMPへの適合などがあります。
薬機法、再審査と再評価の違い
新医薬品や新医療機器は調査期間終了後に、再審査を受ける必要があります。再審査は新医薬品や新医療機器ですが、再評価は全ての医薬品や医療機器が当てはまり、何度でも行われるのが違いです。
薬機法、毒薬と劇薬の取り扱い
毒薬は黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び「毒」の文字、劇薬は白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び「劇」の文字。毒薬は鍵もかけて他の薬と区別して陳列します。
薬機法、医薬品の表示や広告
原則として薬機法で医薬品の表示は、その直接の容器又は直接の被包に記載する項目が薬機法で決まっています。薬機法では、虚偽や誇大な広告を禁止しています。
薬機法、特定生物由来製品の取り扱い
特定生物由来製品は白地に黒枠、黒字をもって「特生物」と記載されます。病院や薬局において特定生物由来製品を使用した場合、必要事項の記録を行い20年は保存します。
薬剤師法、薬剤師になるには
薬剤師は調剤、医薬品の供給その他薬事衛生が主な任務です。薬剤師になるには、薬学部を卒業して薬剤師国家試験に合格する必要があります。絶対的欠格事由には未成年者があります。
薬剤師法、薬剤師の業務(調剤、疑義紹介)
薬剤師法において、調剤は薬剤師のみが認めらていて、例外として医師などに認められています。そのためクリニックなどで看護師や事務が調剤するのは本来であれば違法です。
医療法、薬剤師が関わるもののまとめ
医療法において、薬剤師は医療の担い手、薬局は医療提供施設と定められています。医療法では、病院と診療所は入院できる人数の違いが書かれています。
医師法、無診察処方は違法である
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならないと医師法で定められています。つまり無診察処方は違法です。
安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律、採血や献血のルール
安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律で、何人も、業として、人体から採血してはならない。何人も、有料で、人体から採血し、又は人の血液の提供のあつせんをしてはならない。と定められています。
麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の流通ルート
麻薬及び向精神薬取締法では、麻薬の取り扱うことのできるものを麻薬取扱者と定義されて様々な種類のものがいます。麻薬の流通ルートをイメージできるようになることが大事です。
麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の譲受や譲渡
麻薬輸出業者や麻薬輸入業者でなければ、麻薬の輸出入はできません。自己の疾病の治療の目的で携帯する場合は、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。麻薬の譲受や譲渡にもルールがあります。
麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の管理や廃棄
院外の麻薬処方箋の場合、患者住所や麻薬施用者番号などの抜けに注意が必要です。麻薬の廃棄は麻薬処方箋に基づいて調剤された麻薬の廃棄は事前の届け出は不要だが、廃棄から30日以内に都道府県知事に届出が必要です。

 
HOME プロフィール お問い合わせ