麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の管理や廃棄

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麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の管理や廃棄

前回の麻薬及び向精神薬取締法、麻薬の譲受や譲渡では譲渡や譲受を見ました。今回は麻薬の管理についてみていきたいと思います。

 

 

まずは麻薬処方箋からです。

 

麻薬処方箋

麻薬処方箋の記載事項には以下のようなものがあります。

 

  1. 患者の氏名、年齢(または生年月日)
  2. 患者の住所
  3. 麻薬の品名、分量、用法、用量(投薬日数を含む)
  4. 処方せんの使用期間(有効期間)
  5. 処方せん発行年月日
  6. 麻薬施用者の記名押印または署名、免許番号
  7. 麻薬診療施設の名称、所在地

 

 

院内処方せんの場合は、2、4、7の記載を省略できます。現場では、院外で麻薬処方箋を受け付けた時に2と6の記載が漏れていることがあるため注意しましょう。

 

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麻薬管理者

二人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設の開設者は、麻薬管理者一人を置かなければならない。但し、その開設者が麻薬管理者である場合は、この限りでない。

 

要するに、麻薬を取り扱う医師が二人以上いる場合は麻薬管理者を置かなければならないということです。医師は麻薬管理する暇などないので、基本的に薬剤師が麻薬管理者となります。麻薬管理者は都道府県知事の免許を得ることで薬剤師でもなることができます。

 

では、麻薬管理者はどのような麻薬の管理に関わるのでしょうか?

 

麻薬の保管

麻薬の保管は、麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く。)と区別し、麻薬業務所内のかぎをかけた堅固な設備内に貯蔵して行います。

 

基本的には麻薬はダイアル付きで、さらに鍵が必要な二重でロックされている金庫で保管されていることがほとんどかと思います。このほかにも麻薬帳簿に譲受した麻薬の品名や数量、年月日、さらには以下の麻薬廃棄などの記録を行います。

 

麻薬の廃棄

麻薬の廃棄は、都道府県知事に品名、数量、廃棄方法などについて届け出の後、当該職員の立ち合いのもとに廃棄するのが原則です。

 

ただし、例外として麻薬処方箋に基づいて調剤された麻薬の廃棄は事前の届け出は不要ですが、廃棄から30日以内に都道府県知事に廃棄した麻薬の品名や数量などを届け出なければなりません。次の麻薬の事故でなければ、現場ではこのケースが大多数です。

 

麻薬の事故

滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその麻薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、

 

  • 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生労働大臣に届け出なければなりません。
  • 麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に届出なければなりません。

 

麻薬の事故の場合はかなり対応が面倒になります。

 

まとめ

  • 院外の麻薬処方箋の場合、患者住所や麻薬施用者番号などの抜けに注意が必要
  • 麻薬の廃棄は麻薬処方箋に基づいて調剤された麻薬の廃棄は事前の届け出は不要だが、廃棄から30日以内に都道府県知事に届出が必要

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