薬剤師が関わるチーム医療

薬剤師は医薬品情報、臨床薬理学、体内動態学、薬剤学などの知識に強みがあり、主に薬物療法で患者さんに関わります。しかし薬剤師だけではより良い医療を行うことができず、チーム医療を行う必要があります。今回はチーム医療についてみていきたいと思います。

 

 

チーム医療の代表例

主に病院薬剤師の話となりますが、チーム医療の代表例には以下のようなものがあります。

 

• ICT(感染制御チーム)
• NST(栄養サポートチーム)
• PUT(褥瘡対策チーム)
• PCT(緩和ケアチーム)

 

 

ICT(感染制御チーム)

ICTは、Infection Control Teamの略で、感染制御チームなどと訳されます。

 

ICT(感染制御チーム)は院内での感染の拡大をとどめたり、耐性菌を作らなくしたり、重症な感染症の治療サポートなどを行います。ICT(感染制御チーム)における薬剤師の仕事としては以下のようなものがあります。

 

• 院内感染のサーベイランス(監視)
• 消毒薬や抗生物質の適性投与の確認(感受性やTDMなど)
• 院内での感染対策マニュアルの作成や現場への指導など

 

感染制御と聞くと抗生物質のイメージが強いですが、薬以外にも感染をまず起こさせないことが重要です。そのため、感染予防策(標準予防策や感染経路別予防策)なども話し合われます。

 

NST(栄養サポートチーム)

NSTは、Nutrition Support Teamの略で、栄養サポートチームなどと訳されます。

 

NST(栄養サポートチーム)は栄養管理が必要な患者に適切な栄養支援ができるようにサポートなどを行います。NST(栄養サポートチーム)における薬剤師の仕事としては以下のようなものがあります。

 

• 栄養計画の立案(輸液の組成、栄養素の計算、投与方法など)
• 院内での感染対策マニュアルの作成や現場への指導など

 

高齢者では特に栄養不足でサルコペニアが問題となり、そういう患者に限ってめちゃくちゃな輸液が組まれていたり、栄養管理がなされていない場合があります。NST(栄養サポートチーム)ではそういう患者に介入していきます。

 

PUT(褥瘡対策チーム)

PUTは、Pressure Ulcer care Teamの略で、褥瘡対策チームなどと訳されます。

 

PUT(褥瘡対策チーム)は褥瘡の治療や予防のサポートなどを行います。PUT(褥瘡対策チーム)における薬剤師の仕事としては以下のようなものがあります。

 

褥瘡治療薬や創傷被覆材の選択支援
院内での感染対策マニュアルの作成や現場への指導など

 

褥瘡治療薬における基材選択などはまさに薬剤師の腕の見せ所と言えるでしょう。

 

PCT(緩和ケアチーム)

PCTは、Palliative Care Teamの略で、緩和ケアチームなどと訳されます。

 

PCT(緩和ケアチーム)はがん患者の様々な痛み(苦痛だけでなく、精神的、社会的な痛みなども)を和らげるサポートなどを行います。PCT(緩和ケアチーム)における薬剤師の仕事としては以下のようなものがあります。

 

• 薬物療法の支援
• 副作用対策の支援
• 院内での感染対策マニュアルの作成や現場への指導など

 

麻薬の使用に対して自信のない医師もいるので、オピオイドの使い方をサポートするのはこれまた薬剤師の腕の見せ所でしょう。また痛みだけに目が行きがちですが、副作用対策なども薬剤師としては支援していくことが重要です。

 

まとめ

• 薬剤師はICT(感染制御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、PUT(褥瘡対策チーム)、PCT(緩和ケアチーム)などでチーム医療に関わる