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PT-INRは、international normalized ratio of prothrombin timeの略であり、プロトロンビン時間-国際標準比と訳されます。
前ページ、プロトロンビン時間(PT)の基準値、血液凝固系の復習も、で取り扱ったプロトロンビン時間(PT)は、試験によって差(誤差)が出る可能性があります。試験ごとの差が出ないようにしたものが、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)です。
ただ、ここで気を付けてもらいたいのが、検査自体はプロトロンビン時間(PT)を測定することでプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)を算出しており、別の検査というわけではありません。換算式にプロトロンビン時間(PT)を当てはめることで、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)を求めています。
プロトロンビン時間(PT)は血液凝固に関わりました。よってプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)も血液凝固に関わります。
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プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)は血液凝固の指標ですが、何よりワーファリン(ワルファリンカリウム)が適正に使えているかを判別するための指標と言っても過言ではないでしょう。
ワーファリン(ワルファリンカリウム)は、肝臓でビタミンKと拮抗して、プロトロンビンなどの合成を阻害することで、抗凝固作用を示します。その作用は遅く(長く)、定常状態に達するまでに約7日くらいかかります。そのため、ワーファリン(ワルファリンカリウム)が内服開始となってから、どれくらい時間が経って検査されたかも重要です。内服開始直後のプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)では、定常状態に達しておらず、参考にならないからです。
通常、ワーファリン(ワルファリンカリウム)のコントロールとして、
を目標にコントロールされることが多いです。ちなみに覚え方はありません(笑)かなり有名な薬であり、触れる機会が多いはずなので自然と身についてくるはずです!!
プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)が増減したときに、薬剤師として考えたいこととして以下のものがあります。
正しく薬を飲めていなければ、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)がコントロールしたい数値にならないのは当たり前です。大変かもしれませんが、処方日数と残薬がどれくらい理想と離れているかをチェックすると、どれくらい飲み忘れているかがわかります。
逆に予定より減りすぎている場合は飲みすぎの可能性もあります。ワーファリン(ワルファリンカリウム)は、医師が用法用量を調節する可能性が高い薬なので、薬剤師も含めてうまく患者に伝わらないと、前回と同じ用法用量で飲んでしまうこともあります。
経験上、他の薬もそうですが、患者さんが嘘をついて、「飲んでいる」と言っていることも時にあります。そこを聞き出せるかも薬剤師の腕の見せ所です。
詳しくは添付文書を参照ですが、ワーファリン(ワルファリンカリウム)は相互作用を起こす薬が多いです。併用注意に載っている薬と併用しても何の影響もないこともありますが、思いもよらぬ薬が開始になったことで相互作用を起こす可能性があります。今まで順調にプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)がコントロールできていたのに、急にずれてしまったら、新しく開始となった薬との相互作用を疑ってみましょう。
経験談ですが、ワーファリン(ワルファリンカリウム)を使っている患者にエルネオパ1号が開始となって、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)がずれてしまったということがあります。輸液なども、ビタミンKを含むものがあるので注意が必要です。
有名なのが、納豆、青汁、クロレラなどの食材です。これらは有名なので、併用がないかチェックすることが多いと思います。
しかし、他の食材を含めた食事にも微量ながらにビタミンKは入っています。何らかの理由で食事量が極端に減っていた患者が元気になり、食事がとれるようになってきて、食事量が増えたらどうなるか?「塵も積もれば山となる」ということわざにあるように、ビタミンKの量も増えてきます。
ビタミンKが増えれば当然、ワーファリン(ワルファリンカリウム)と拮抗するので、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)が理想のコントロールの値からずれてきます。
結構このケースは遭遇すると思います。
ワーファリン(ワルファリンカリウム)の調節は、薬剤師も薬物治療に大きく関わることのできる薬の一つなので、注意してみましょう。