白血球の基準値が異常なときは白血球区分をみてみる。

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白血球の基準値、白血球区分の基本の5つとは

白血球は、主に生体防衛に関する働きをしてくれます。今回は、白血球についてみていこうと思います。

 

 

白血球(WBC)

White blood cellの略で、白血球のことを指します。現場では「ワイセ」と呼ぶ人もいます。ドイツ語の白を意味するワイセが由来という説もあれば、ワイトブラッドセルの省略の最終形態という説もあります。とりあえず、ワイセと言われたら、白血球ということを思い浮かべられればよいと思います。

 

白血球は4000〜9000/μLくらいが目安となります。私はこの値は学生の時から覚えていたので、あれですが、どうしても覚えられない人は4000〜8000と覚えてしまってもいいかもしれません(4000×2=8000と覚えれば引っ張り出しやすい)。増減の原因として以下のことがあります。

 

増加
  • 感染症などの疾患
  • 白血病
  • 喫煙
  • 妊娠

 

減少
  • 白血球減少症などの疾患
  • 抗がん剤などによる骨髄抑制

 

ただの白血球の増減だけでは診断ができないため、白血球数に異常があるときは、さらに白血球の区分を確認する必要があります。

 

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白血球の区分

まず簡単に白血球の区分について簡単に復習してみます。血液は遠心分離をかけることによって、血漿と血球に分けられます。白血球は名前の通り、「血球」とつくので、遠心分離でわけられたもののうち、血球に属します。

 

白血球は働きなどによってさらに、以下の5つに主にわけられます。

 

  • 好中球(neutro)
  • 好酸球(eosino)
  • 好塩基球(baso)
  • リンパ球(lymph)
  • 単球(mono)

 

 

好中球(neutro)

Neutrophilの略で、好中球を指します。現場では「ノイトロ」と呼ばれたりもします。白血球の約40〜70%を好中球が占め、主に細菌や異物の貪食に関わります。おおよそ60%くらいと覚えておくと良いでしょう。

 

高値だと疑われる疾患の一例
  • 細菌感染
  • 白血病

 

好酸球(eosino)

Eosinophilの略で、好酸球を指します。現場では「エオジノ」と呼ばれたりもします。白血球の約1〜7%を好酸球が占め、寄生虫を攻撃することが特徴です。しかしそういった場面に出くわす可能性も低く、むしろアレルギー反応などを見ることに使うことが多いでしょう。好3球と覚えると覚えやすく、おおよそ3%前後くらいと覚えておくとよいでしょう。

 

高値だと疑われる疾患の一例
  • 寄生虫感染
  • 花粉症、喘息などのアレルギー疾患

 

好塩基球(baso)

Basophilの略で、好塩基球を指します。現場では「バソとかバゾ」と呼ばれたりもします。白血球の約0〜1%を好塩基球が占め、アレルギー反応に関わります。1円と覚えると覚えやすく、1%くらいと覚えておくと良いでしょう。

 

高値だと疑われる疾患の一例
  • 白血病

 

リンパ球(lymph)

Lymphocyteの略で、リンパ球を指します。白血球の約25〜45%をリンパ球が占めます。リンパ球はさらにTリンパ球とBリンパ球に分けられます。好中球が60%くらいだったので、リンパ球は、それの半分である30%前後と覚えておくと覚えやすいでしょう。

 

高値だと疑われる疾患の一例
  • 白血病
  • 百日咳

 

単球(mono)

Monocyteの略で、単球を指します。白血球の約3〜7%を単球が占めます。単球は血管外に出るとマクロファージとなり、細菌や異物を貪食し、食べたものの情報を提示する働きをします。単語(5)と覚えると覚えやすく、5%前後と覚えておくと良いでしょう。

 

高値だと疑われる疾患の一例
  • 結核
  • 白血病

 

白血球を減少させる薬

全ての薬について白血球の増減は起こりうることですが、有名なものとして以下のものがあります。

 

  • 抗がん剤
  • メルカゾール(チアマゾール)
  • プロパジール(プロピルチオウラシル)
  • アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン)

 

まとめ

  • 白血球は主に感染症に関わる。
  • 白血球が異常な数値を示していたら、白血球の区分を見てみる。

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