プロトロンビン時間(PT)は血液凝固だけでなく、肝機能も反映する。

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プロトロンビン時間(PT)の基準値、血液凝固系の復習も

プロトロンビンは凝固因子の一つで、止血に関わります。血液の凝固因子のほとんどは肝臓で作られていて、プロトロンビンも肝臓で作られています。

 

まずは血液凝固系のおおまかな確認から入ります。

 

血液凝固系

血液の凝固には、血管内と血管外の凝固因子が関わり、血管内のものを内因系、血管外のものを外因系と呼ばれています。どちらのルートをたどっても最終的には、共通系と呼ばれるルートにたどり着きます。ここで、プロトロンビンからトロンビンになり、フィブリノーゲンからフィブリンへの反応を促進して血液凝固が起こります。

 

 

内因系

血管内に存在する因子によっておこる凝固反応です。関係する凝固因子としては、[(8)、\(9)、]T(11)、]U(12)があります。

 

国家試験勉強時のものですが、語呂合わせに「胃にいいクッパ無い!」があります。

 

  • 胃に;12
  • いい;11
  • クッパ;9、8
  • 無い;内因系

 

クッパを食べに人気の韓国料理屋さんに行きました。しかし、そこのお店は激辛クッパしか置いていませんでした。激辛クッパを食べると、胃が荒れてしまうかもしれません。思わず「胃にいいクッパ無い!」と叫んでしまった。そんな物語です。

 

 

外因系

血管外に存在する因子によって起こる凝固反応です。関係する凝固因子としてはV(3)、Z(7)があります。

 

同じく語呂合わせに「外人プロ並み」があります。

 

  • 外人;外因系
  • プロ;プロトロンビン時間
  • 並み;7、3

 

先ほどの韓国料理のお話とつなげて覚えましょう。人気の韓国料理屋さんでしたが、厨房を見てみると韓国の方ではなく、全くの外国人だったのです。本場の方では無いけれども、人気の韓国料理屋さんだったので、思わず「外人プロ並み」と称賛のコメントをしたという物語です。

 

 

共通系

内因系と外因系がたどり着く経路になります。この経路でも、凝固因子が関わります。おおざっぱに言うと、プロトロンビン(第U因子)がトロンビン(第Ua因子)になり、そのトロンビンがフィブリノーゲン(第T因子)からフィブリンの反応を進めます。そうしてようやく凝固反応が終了となります。

 

 

プロトロンビン時間(PT)

Prothtombin Timeの略で、プロトロンビン時間と訳されます。現場では素直に「ピーティー」と呼ばれていると思います。他にもあるかもしれませんが、これ以外の呼び方を現時点では経験したことがないです。プロトロンビン時間は血液凝固の中で主に外因系の検査になります。基準値は色々書籍により異なりますが、私はキリ良く10〜15秒と覚えています。やや強引ですが、「プロ10(ト)ロンビンは15秒!!!!」のゴロで覚えています。また正常者のプロトロンビンの活性を100%と考えたとき、その患者さんはどれだけプロトロンビンが活性(働く)のかを表したものが、プロトロンビン活性で、通常70〜130%くらいが基準値となります。

 

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プロトロンビン時間(PT)の延長に関わる疾患の一例
  • 肝障害
  • ビタミンK欠乏症
  • DIC

 

プロトロンビン時間(PT)延長に関わる薬剤の一例
  • ワーファリン
  • ヘパリン
  • NSAIDs
  • 抗生物質の長期投与

 

まとめ

  • 血液凝固系は内因系、外因系、共通系から成り立っている。
  • 凝固因子の多くは肝臓からつくられている(肝障害の可能性)

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