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ヒトは呼吸を無意識に行っています。外から吸った空気を体の中に取り込むと、気道を通り肺へ行きます。取り込まれた空気はさらに末端部分の肺胞まで届きます。肺胞は毛細血管に囲まれていて、酸素と二酸化炭素の受け渡しを行います。
全身に酸素を届けるために必要となる呼吸ですが、どのように調節されているのでしょうか?
呼吸は延髄にある呼吸中枢によって調節されていますが、意識的に呼吸の速さや深さを変えることが出来ます。そのため、呼吸は患者が無意識の状態で行っている条件下で見ることが重要となります。
そのため、私が実践している例として、「1分間脈を計ります。」といって30秒間は脈を計りますが、残りの30秒間は患者さんに内緒で呼吸数を計ります。こうすることによって患者さんは脈に意識がいっているため、自然な呼吸数を計ることができます。ただし30秒なので、測定結果を2倍することを忘れずに(笑)
呼吸数は安静時では、12〜20回/分くらいで、年齢が低いと呼吸数がこれよりも多かったりします。通常では、息を吸う時間が約1秒、息を吐く時間約2秒くらいであるため、1回の呼吸が約3秒になります。よって、1分間では18回くらいになるため、どうしても基準値が覚えられない人は、そのように考えて覚える方法もあります。実際に自分の呼吸数計ってみると、覚える時に印象付けて覚えられるでしょう。
呼吸数が30回/分以上となると、感染や心不全、喘息などの可能性もあり緊急事態となります。また呼吸数が10回/分以下となると、脳圧亢進、睡眠薬中毒などの可能性があり緊急事態となります。
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呼吸数以外にも、疾患によっては特徴的な呼吸を取ることがあります。呼吸の数だけでなく、リズムや深さの変化も呼吸では大事です。
正常な呼吸音は以下の3つで聞かれる。
異常な呼吸音を副雑音といい、特に肺から生じる副雑音をラ音と呼びます。ドイツ語のラッセル音に由来するそうです。ラ音は一定時間持続する連続性ラ音と持続時間の短い断続性ラ音に分けられます。
聴診はこれらを頭に置きながら、気管、肺野の上から下へ左右対称に進めていきます。背部も同様に上から下へ左右対称に進めていきます。
呼吸は延髄にある呼吸中枢で行われています。呼吸中枢は主に体内の二酸化炭素を感知して、呼吸を調節しています。
重症の呼吸不全の患者さんであると、常に二酸化炭素が高い状態であるため、呼吸中枢は二酸化炭素ではなく、酸素を感知して呼吸を調節します。酸素を感知している状況下で、酸素が投与されてしまうと、酸素がたくさんあると呼吸中枢が勘違いしてしまい、呼吸が抑制されてしまうおそれがあります。このことをCO2ナルコーシスと呼びます。CO2ナルコーシスは慢性閉塞性肺疾患(COPD)で発生することが多く、酸素は鼻カニューラで1L/分前後で酸素飽和度が90%程度となるように治療されます。