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病院で薬剤師をしていると、当たり前のように輸液に触れる機会がありますが、保険薬局でも在宅をしていると輸液を扱う可能性があります。在宅は通院困難な患者が多いため、輸液の中でも特に高カロリー輸液を取り扱うことが多いです。
別カテゴリーの注射や輸液の基本でも色々とまとめていますが、今回は高カロリー輸液についてまとめていきます。
高カロリー輸液というと、身構えてしまうかもしれませんが普段私たちが食べているお弁当から考えてもらうとイメージしやすいです。今ここに、から揚げ10個とご飯のみのから揚げ弁当があるとしましょう。「うまそうだな」という気持ちになるかもしれませんが、
一部の女性は「あれ野菜は?」
一部の高齢者は「から揚げ3個でいいな」
などと色々な要望が出てきます。要するに栄養のバランスが悪いのです。
高カロリー輸液を考えるときも同じです。栄養のバランスが大事になり、人それぞれ求められる栄養が変わってきます。高カロリー輸液の栄養バランスを考えていくにあたって、
などが大事になってきます。
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投与するエネルギー量を計算するには成人であれば、標準体重をもとに25〜30kcal/kg/日でおおまかに計算できますが、さらにもっと細かく計算する方法もあります。それは
投与エネルギー=基礎エネルギー消費量×活動係数×障害係数
という計算式から求められます。
基礎エネルギー消費量はさらにハリスベネディクトの式から計算します。
動けるかどうかによって、もちろん消費カロリーも異なるため、それを補正するのが活動係数です。以下のようなものがあります。
ケガなどの障害要因による補正をするのが障害係数です。以下のようなものがあります。
脳の活動には糖が栄養源となるため、最低でも100gは必要となります。
ストレスレベルによって求められる量が変わってきます。
タンパク質もたくさんあげればいい気がしますが、あげ過ぎてもアミノ酸として使われなくなります。そのため、窒素1gあたり100〜200kcalであることが望ましいとされています。なお、窒素摂取量はタンパク質投与量(g)÷6.25で求めることができます。
必須脂肪酸を入れたいため、脂肪乳剤を入れることが望ましいとされています。
また速度を上げ過ぎると、発熱や悪心を起こしやすくなるという報告があります。他にもゆっくり投与することで、血中のトリグリセリドが上がりにくくなるというメリットもあると考えられています。
注射剤のビタミン剤は壊れやすいため、内服より投与量が多いです。まれにビタミンB1が抜けている処方がくることがあるため、見逃してはなりません。
別ページ、ナトリウムと水分の関係や、カリウムは数値だけでなく、心電図も見ようでもまとめているので、よければ見てください。
微量元素の欠病症状には以下のようなものがあります。
30〜40ml/kg/日を基準にして投与していきます。水は、経口だけでなく、代謝水や排泄、不感蒸泄などによって、出入りしていきます。
これらの要素を計算して、何が足りているか、足りていないかを考えて、それになるべく近づけるように輸液を組み立てるだけです。在宅では、可能であればキット製剤の方が楽です。キット製剤は医療人が混注する手間を省けるだけでなく、患者の家族も楽に扱えるため負担の軽減となります。在宅でどうしても混注せざるを得ない場合になったら、プレフィルドシリンジがあれば、手技が楽になります。