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視診、触診は通常、医師や看護師が行うものです。しかし基本的なことを知ることで、チーム医療に役立ちます。回診時に何をやっているのかがわかったり、カルテを読めたり、在宅医療などでも活かせると思います。服薬指導中に簡単なものであれば、薬剤師でも気づくことができるかもしれません。
視診と聞くと、どうしても体の一部を「診る」イメージがあります。しかし、ぱっと見た時の調子の良さだったり、精神的に落ち込んでいる、興奮している、不穏である、なども視診であると言えます。以前、参加したことのある勉強会の講師の先生は、「抗がん剤を当日やるかやらないかを決めるにあたって、検査値ももちろん大事だけど、調子の良さや顔色とかでも決めている」と話していました。
それくらい重要なものであり、薬剤師も簡単なものは知っておくと様々な場面で活用できるでしょう。
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視診をするにあたって、以下の項目などを見ていきます。
触診は以下のような項目などを見ていきます。
では、部位別に確認していきます。
眼瞼とはまぶたのことで、そこがむくみます。まぶたは皮膚の中でも伸展性が高く、薄いため、むくみが起こりやすいのです。
アレルギーなどの炎症による腫れの可能性もありますが、腎不全などで循環がうまくいっていない可能性もあります。
眼瞼の裏側のことを眼瞼結膜と言います。あっかんべーや、上まぶたを引っ張ったときに見える裏側です。眼瞼結膜は神経や血管が通っています。
あなたも鏡の前で、あっかんべーをしてもらえばわかるかと思いますが、通常であれば赤い色をしています。しかし、貧血の人は白くなっています。
この眼瞼結膜のチェックは病院にかかったときに、医師にされて覚えている方もおおいのではないでしょうか。
白目の表面にあたる強膜を覆っているところを眼球結膜と言います。
胆汁うっ滞などで、ビリルビンが高くなると、この眼球結膜が黄色く見える患者が時々います。ビリルビンは皮膚や強膜とくっつきやすく、ビリルビン自体が黄色い色をしているため、黄色く見えるのです。
主に唾液腺の異常によって、唾液が減少すると、口の中が乾いてきます。口の中が乾くと、味覚障害、虫歯、口腔カンジダなどになりやすくなります。
口腔乾燥の具合を見るには、舌の乾燥具合を見ると良いそうです。唾液に粘性があれば軽度、舌の上に唾液の小さい泡が見られれば中等度、唾液分泌がほとんどなく舌が乾燥していれば重度であると考えられます。
口内炎はその名の通り、口の中の炎症であり、歯茎、舌、唇、口角などさまざまな位置にできます。あなたも一度はできたことがあるのではないでしょうか?口内炎はストレスや栄養不足なども原因になりますが、抗がん剤で免疫が落ちたりするとできる可能性があります。
口内炎が出来ると、食事面などで患者のQOLが低下するので注意が必要です。
歯肉が肥大化して、場合によっては歯を覆ってしまうこともあるそうです。フェニトイン、ニカルジピン、シクロスポリンなどの薬が起こしやすいとされています。
頸部は多くのリンパ節があり、炎症やがんの転移などで腫れることがあります。
主にCOPDで見られます。胸が樽のように膨張した形となります。COPDなどで気管支が狭くなると、息を吐きだしにくくなり、バランスが崩れます。吸う量≧吐く量となり、肺が膨張していきます。よって、樽のように胸が膨張した形になると考えられています。
先天性の遺伝疾患で、前胸部がへこんだ形となります。胸がへこんでいるため気管支が圧迫されて息苦しくなったりするそうですが、無症状であることも多いようです。
漏斗胸とは逆に、前胸部が鳩の胸のように出っ張った形となります。これも先天性であり、無症状のことが多いようです。それよりも外見上による精神的な悩みを抱えている可能性もあるので、言動には注意が必要です。
仰臥位で軽く膝を立たせて行います。腹部の緊張を取るために、膝は立たせます。
病気だけでなく、薬による薬疹で皮膚の状態や色が変わることがあります。
発熱や炎症があると皮膚が赤くなります。その他にも、緊張や恥ずかしさなどの精神的なものから赤くなることもあります。また、皮膚が赤くなるものとして、頬に特徴的に蝶のように広がる紅斑があります。これは全身性エリテマトーデス(SLE)やクッシング症候群などで特徴的な紅斑となります。
先ほどの眼に続き、ビリルビンが増えてくると、黄疸が起こる可能性があります。
循環が悪くなったり、血液に酸素がいかなくなると、チアノーゼを起こし、唇や皮膚などが青紫色になることがあります。
他にも、抗血小板薬や抗凝固剤による紫斑、ゼローダ(カペシタビン)などの抗がん剤による手足症候群などにも注意する必要があります。
爪については、ばち指があります。肺がんや間質性肺炎といった肺疾患などで現れることがあり、、爪の付け根が盛り上がって、太鼓のばちのような形が特徴的です。爪の付け根で作られる角度が180°以上になります。
服薬指導時に、コミュニケーションをとるだけでなく、ふとした瞬間の観察力を日頃から注意していくことが大事です。
打診は叩いた音の特徴や違いから診る方法で、ラウンドをしているとたまに見ることがあります。人体ではなく、空き箱とかで実際に叩いてもらえれば感じられると思いますが、音が違います。中身がスカスカの空き箱を叩くと、響きます。それに対して、砂などをぎっちりつめて叩くとあまり響きません。
人体でも同じようなことが考えられ、音が響いたらその下は空に近く、響かなければ何か詰まっていることが予想されます。打診は叩いたところの5〜7cmくらいのところの音が反映されます。
打診は主に以下のことを知るために行われます。
また打診音には主に以下のようなものがあります。