視診や触診や打診の基本を知ることで、薬剤師も服薬指導時に異常に気付くことはできる。

Sponsored Link

視診、触診、打診の基本、薬剤師でも異常に気付けることはある。

視診、触診は通常、医師や看護師が行うものです。しかし基本的なことを知ることで、チーム医療に役立ちます。回診時に何をやっているのかがわかったり、カルテを読めたり、在宅医療などでも活かせると思います。服薬指導中に簡単なものであれば、薬剤師でも気づくことができるかもしれません。

 

視診と聞くと、どうしても体の一部を「診る」イメージがあります。しかし、ぱっと見た時の調子の良さだったり、精神的に落ち込んでいる、興奮している、不穏である、なども視診であると言えます。以前、参加したことのある勉強会の講師の先生は、「抗がん剤を当日やるかやらないかを決めるにあたって、検査値ももちろん大事だけど、調子の良さや顔色とかでも決めている」と話していました。

 

それくらい重要なものであり、薬剤師も簡単なものは知っておくと様々な場面で活用できるでしょう。

 

Sponsored Link

Sponsored Link


 

視診をするにあたって、以下の項目などを見ていきます。

 

  • 動作
  • 姿勢
  • 大きさ
  • 対称性

 

触診は以下のような項目などを見ていきます。

 

  • 硬さ
  • 弾力性
  • 湿潤性
  • 位置
  • 大きさ
  • 温度
  • 拍動

 

 

では、部位別に確認していきます。

 

 

 

眼瞼浮腫

眼瞼とはまぶたのことで、そこがむくみます。まぶたは皮膚の中でも伸展性が高く、薄いため、むくみが起こりやすいのです。

 

アレルギーなどの炎症による腫れの可能性もありますが、腎不全などで循環がうまくいっていない可能性もあります。

 

眼瞼結膜蒼白

眼瞼の裏側のことを眼瞼結膜と言います。あっかんべーや、上まぶたを引っ張ったときに見える裏側です。眼瞼結膜は神経や血管が通っています。

 

あなたも鏡の前で、あっかんべーをしてもらえばわかるかと思いますが、通常であれば赤い色をしています。しかし、貧血の人は白くなっています。

 

この眼瞼結膜のチェックは病院にかかったときに、医師にされて覚えている方もおおいのではないでしょうか。

 

眼球結膜黄染

白目の表面にあたる強膜を覆っているところを眼球結膜と言います。

 

胆汁うっ滞などで、ビリルビンが高くなると、この眼球結膜が黄色く見える患者が時々います。ビリルビンは皮膚や強膜とくっつきやすく、ビリルビン自体が黄色い色をしているため、黄色く見えるのです。

 

口腔

 

 

口腔乾燥

主に唾液腺の異常によって、唾液が減少すると、口の中が乾いてきます。口の中が乾くと、味覚障害、虫歯、口腔カンジダなどになりやすくなります。

 

口腔乾燥の具合を見るには、舌の乾燥具合を見ると良いそうです。唾液に粘性があれば軽度、舌の上に唾液の小さい泡が見られれば中等度、唾液分泌がほとんどなく舌が乾燥していれば重度であると考えられます。

 

口内炎

口内炎はその名の通り、口の中の炎症であり、歯茎、舌、唇、口角などさまざまな位置にできます。あなたも一度はできたことがあるのではないでしょうか?口内炎はストレスや栄養不足なども原因になりますが、抗がん剤で免疫が落ちたりするとできる可能性があります。

 

口内炎が出来ると、食事面などで患者のQOLが低下するので注意が必要です。

 

歯肉増殖

歯肉が肥大化して、場合によっては歯を覆ってしまうこともあるそうです。フェニトイン、ニカルジピン、シクロスポリンなどの薬が起こしやすいとされています。

 

頸部

 

 

頸部腫脹

頸部は多くのリンパ節があり、炎症やがんの転移などで腫れることがあります。

 

触診
リンパ節
  • 後頭リンパ節;頭皮の湿疹や風疹など
  • 耳介後リンパ節;頭皮の湿疹や風疹など
  • 耳介前リンパ節;流行性角結膜炎など
  • 扁桃リンパ節;扁桃炎など
  • 顎下リンパ節;歯肉炎、齲歯など
  • オトガイ下リンパ節;歯肉炎、齲歯など
  • 鎖骨リンパ節;悪性腫瘍など

 

甲状腺
  • バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍など

 

 

 

 

樽状胸

主にCOPDで見られます。胸が樽のように膨張した形となります。COPDなどで気管支が狭くなると、息を吐きだしにくくなり、バランスが崩れます。吸う量≧吐く量となり、肺が膨張していきます。よって、樽のように胸が膨張した形になると考えられています。

 

漏斗胸

先天性の遺伝疾患で、前胸部がへこんだ形となります。胸がへこんでいるため気管支が圧迫されて息苦しくなったりするそうですが、無症状であることも多いようです。

 

鳩胸

漏斗胸とは逆に、前胸部が鳩の胸のように出っ張った形となります。これも先天性であり、無症状のことが多いようです。それよりも外見上による精神的な悩みを抱えている可能性もあるので、言動には注意が必要です。

 

触診
  • 胸郭運動;帰郷、無気肺、胸水、肺炎など
  • 心尖拍動;心不全など。心臓収縮時に、心尖が胸壁に当たって生じる。
  • スリル;心雑音が大きくなり、その振動が感じ取れる

 

腹部

触診

仰臥位で軽く膝を立たせて行います。腹部の緊張を取るために、膝は立たせます。

 

浅い触診
  • 筋性防御;腹膜炎など。筋肉の緊張で硬く、激しい痛みを感じます。
  • 反動性疼痛;腹膜炎など。圧迫した後に、手を離すと感じる痛み。
  • 圧痛;胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性胆嚢炎など

 

深い触診
  • 腫瘤など

 

 

皮膚、爪

病気だけでなく、薬による薬疹で皮膚の状態や色が変わることがあります。

 

赤色

発熱や炎症があると皮膚が赤くなります。その他にも、緊張や恥ずかしさなどの精神的なものから赤くなることもあります。また、皮膚が赤くなるものとして、頬に特徴的に蝶のように広がる紅斑があります。これは全身性エリテマトーデス(SLE)やクッシング症候群などで特徴的な紅斑となります。

 

黄色

先ほどの眼に続き、ビリルビンが増えてくると、黄疸が起こる可能性があります。

 

青色

循環が悪くなったり、血液に酸素がいかなくなると、チアノーゼを起こし、唇や皮膚などが青紫色になることがあります。

 

他にも、抗血小板薬や抗凝固剤による紫斑、ゼローダ(カペシタビン)などの抗がん剤による手足症候群などにも注意する必要があります。

 

爪については、ばち指があります。肺がんや間質性肺炎といった肺疾患などで現れることがあり、、爪の付け根が盛り上がって、太鼓のばちのような形が特徴的です。爪の付け根で作られる角度が180°以上になります。

 

 

触診
  • 足の浮腫;腎不全、心不全、肝硬変など。親指で5秒くらい押し続け、手を離すと跡が残る。

 

 

服薬指導時に、コミュニケーションをとるだけでなく、ふとした瞬間の観察力を日頃から注意していくことが大事です。

 

打診

打診は叩いた音の特徴や違いから診る方法で、ラウンドをしているとたまに見ることがあります。人体ではなく、空き箱とかで実際に叩いてもらえれば感じられると思いますが、音が違います。中身がスカスカの空き箱を叩くと、響きます。それに対して、砂などをぎっちりつめて叩くとあまり響きません。

 

人体でも同じようなことが考えられ、音が響いたらその下は空に近く、響かなければ何か詰まっていることが予想されます。打診は叩いたところの5〜7cmくらいのところの音が反映されます。

 

 

打診は主に以下のことを知るために行われます。

 

  • 肝臓の位置や大きさの推定
  • 心臓の大きさの推定
  • 横隔膜の位置の推定
  • 腹部膨満の原因の推定
  • 肺の含気状態の推定

 

また打診音には主に以下のようなものがあります。

 

  • 鼓音(太鼓のような音);胃・腸内ガスなど
  • 共鳴音(良く響く音);正常肺実質など
  • 過共鳴音(低音ドーン);肺気腫など
  • 鈍音(低音ドスン);実質臓器など
  • 濁音(組織や水で詰まったような音);腫瘍など

 

まとめ

  • 服薬指導時に、見た目をチェックすることで薬剤師でも異常に気付けたり役立てることがある。
 このエントリーをはてなブックマークに追加 

Sponsored Link

Sponsored Link

視診、触診、打診の基本、薬剤師でも異常に気付けることはある。 関連ページ

バイタルサインは8つの項目をみよう
バイタルサインは患者が生きている証です。現代の薬剤師にもバイタルサインを読む力は求められ、薬の効果や副作用により深く関われます。意識、呼吸、血圧、脈拍、体温、酸素飽和度、血糖値、尿量の項目から成り立ちます。
血圧の基本、高血圧と低血圧
血圧とは、血管にかかる圧力のことです。高血圧の緊急事態の指標として、180/120mmHg以上があります。また、低血圧の緊急事態の指標としては、収縮期血圧が90mmHg以下があります。
脈拍の基本、頻脈と徐脈
脈拍は心臓の拍動を体表面の動脈でふれるものです。心臓にある洞結節が主に脈拍の調整をしています。頻脈の緊急事態の指標は140回/分以上のときで、徐脈の緊急事態の指標は40回/分未満のときです。
体温の基本、発熱と解熱
体温は、年齢、時間帯、運動、食事、性などの影響を受け個人差があります。発熱が始まると、悪寒や鳥肌が起こります。ピークでは熱感や皮膚が紅潮します。解熱に向かうと、皮膚の紅潮や発汗が見られます。
呼吸の基本、呼吸数と呼吸音
呼吸は延髄の呼吸中枢によって調整されています。呼吸数が30回/分以上や10回/分以下では緊急事態となります。また副雑音のラ音は、笛声音、いびき音、捻髪音、水泡音の4つがある。
意識の基本、意識障害の原因と評価
意識障害があると危険な状況が多いです。意識障害の評価方法として、JCSやGCSがあります。また原因をみつける方法として、アイウエオチップスがあります。意識障害や麻痺の評価は最後に行われ、まずは生命維持の対応をします。
酸素飽和度の基本、酸素分圧との関係
酸素飽和度はヘモグロビンと酸素がくっついている割合を示します。酸素飽和度が90%を下回ると、臓器障害が起こる可能性が高まります。酸素飽和度が低下する原因には、ショックや不整脈、貧血などがあります。
血糖値の基本、低血糖と高血糖
ブドウ糖は、肝臓でグリコーゲンとして貯蔵され、筋肉では主にエネルギー源として使われます。低血糖も高血糖も意識障害が起こる前に対処することが、患者さんを守るうえで重要となります。
尿量の基本、減少と増加の原因と尿色
尿量は1日1500ml前後は出ていて、400ml以下を乏尿、100ml以下を無尿、3000ml以上を多尿と呼びます。尿量が減少する原因は腎前性、腎性、腎後性、サードスペースへの移行などがあります。また尿色からも様々な情報が得られます。
アレルギーとアナフィラキシー、原因と症状と対策
アレルギーを起こすと、様々な症状などを起こし、時にアナフィラキシーショックと呼ばれる生命の危機を起こす可能性があります。原因となるアレルゲンを摂取しないように気を付け、正しい対策をする必要があります。
災害現場とトリアージ、START(スタート)法とは
災害現場では、トリアージが行われ患者の選別が行われます。行われた証として患者にトリアージ・タッグが巻き付けられ、色によって優先順位が記されます。トリアージを行う方法の1つにSTART(スタート)法があります。

 
HOME プロフィール お問い合わせ