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前回のS4.ホルモン調製薬および代謝調整薬、男性ホルモンと禁止物質ではS4について見ました。今回は、S5.利尿薬および隠蔽薬について見ていきたいと思います。S5に関わる代表的な薬には以下のようなものがあります。
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仮にドーピングをした時に利尿薬を使えば、禁止薬物が早く体内から抜けます。また、排泄が行われることで減量が可能となります。そのため利尿薬は禁止となります。
利尿薬には様々な作用機序の薬があり、一般的には降圧目的で使われることが多いです。しかしここで、注意したいのが緑内障の治療薬としても使われる炭酸脱水素酵素阻害薬です。炭酸脱水素酵素阻害薬のエイゾプト(ブリンゾラミド)、トルソプト(ドルゾラミド)は禁止物質から外されています。
他にも最近は利尿剤と他の降圧剤の配合薬も出ているため注意が必要です。
先ほどの利尿薬は禁止物質を体内から抜くというわかりやすい理由だったかと思いますが、もう一つドーピングから抜ける方法があります。それは体内の薬物濃度を薄めるという方法です。イメージとしては海水(塩水)です。塩水をなめれば、「しょっぱい!」となるかと思います。しかし塩水に水を足していくと、どこかでしょっぱさがわからなくなるかと思います。ドーピングも同じです。普通に禁止物質が入っていれば引っかかってしまいますが、血中濃度を薄めることで検知が難しくなります。
体内に薄める水をため込むのに出てくるのが、デスモプレシン、血漿増量物質です。
デスモプレシンはバソプレシン類似物質です。ここでバソプレシンについて簡単に復習です。
バソプレシンは抗利尿ホルモンで脳下垂体後葉から出てきます。出てきたバソプレシンは、バソプレシン受容体に結合することで作用します。デスモプレシンは主に腎臓にあるバソプレシンV2受容体に作用して血漿量を増やします。
血漿増量物質はわかりやすいですね。先ほどの薄めるための水を体内に入れることになります。水を体内に入れるとなると輸液です。血漿増量物質は主に手術で使われる輸液である、低分子デキストラン(デキストラン)、サリンヘス(ヒドロキシエチルデンプン)、ボルベン(ヒドロキシエチルデンプン)などがあります。