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前回のS2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質、エリスロポエチンとドーピングでは、禁止物質のうち、S2を確認しました。今回はS3.ベータ2作用薬について見ていきます。
β2作用薬がβ2受容体を刺激すると、気管支平滑筋や血管平滑筋を弛緩させ、肝臓における糖新生を促進する作用が起こります。そのためβ2作用薬は気管支喘息などに使われます。
しかし、副作用にβ2受容体を刺激しすぎることにより振戦が起きたり、β1受容体を刺激することにより動悸が起きたりします。これらの副作用や蛋白同化作用などの理由から禁止物質となりえます。しかし細かいルールがあるためスポーツファーマシストとして正しく理解しておく必要があります。
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β2作用薬で気をつけることには以下のようなことがあります。
先ほどの副作用などの理由から基本的にはβ2作用薬はすべて禁止されています。しかし喘息などでどうしても使わなくてはならない選手もいます。そのため、アノーロ(ビランテロール含む合剤)、テリルジー(ビランテロール含む合剤)、レルベア(ビランテロール含む合剤)、セレベント(サルメテロール)、サルタノール(サルブタモール)、オーキシス(ホルモテロール)の吸入薬については、禁止表の範囲内の使用であればドーピングになりません。
先ほどのセレベント(サルメテロール)、サルタノール(サルブタモール)、オーキシス(ホルモテロール)の吸入薬以外の吸入薬を使う時は、TUEの申請が必要となります。TUEは別ページでまとめますが、禁止物質や禁止方法を治療目的で使用することを申請して認められれれば使用できる特例です。申請するにも、セレベント(サルメテロール)、サルタノール(サルブタモール)、オーキシス(ホルモテロール)の吸入薬では治療できない理由などが必要となります。
吸入薬以外にもβ2作用薬には内服や貼付剤がありますが、これらも吸入薬で治療できない理由が認められた場合にのみ承認されるため注意が必要です。イメージとしては、以下のようになります。
ヒゲナミンは生薬に含まれる成分で、サプリメントや漢方薬に含まれることがあるため注意が必要です。
最後にスピロペント(クレンブテロール)です。スピロペント(クレンブテロール)は、S0.無承認物質、S1.蛋白同化薬。スピロペント(クレンブテロール)に要注意でも紹介したように、S1に含まれます。