S7.麻薬、ソセゴン(ペンタゾシン)、レペタン(ブプレノルフィン)も禁止のため注意。

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S7.麻薬、ソセゴン(ペンタゾシン)、レペタン(ブプレノルフィン)も禁止のため注意。

前回のS6.興奮薬(a.特定物質でない興奮薬、b.特定物質である興奮薬)、市販の風邪薬(OTC)のうっかりドーピングに気をつけようでは、S6について見てきました。今回はS7.麻薬について見ていきたいと思います。

 

 

麻薬と言うと芸能人が逮捕されたりニュース的なイメージが強いですが、医療では手術などに使われたりするケースがあります。

 

オピオイド受容体

S7.麻薬に含まれる物質は、オピオイド受容体に作用する薬です。詳しい作用機序はオピオイド関連薬、痛みと副作用でもまとめているので、そちらも参考にしてください。

 

 

オピオイド受容体には、オピオイドμ受容体、オピオイドδ受容体、オピオイドκ受容体などがあります。鎮痛作用にそれぞれ関わりますが、中でもオピオイドμ受容体が痛みを抑えるのに重要です。スポーツの世界では痛みがあっても、痛みを押し通して試合に出場したいというシーンがあるかと思います。漫画の世界であれですが、スラムダン〇のゴリが、海南戦で見せた名シーンです。ご存じない方もいるかと思うので簡単に言うと、

 

バスケの全国制覇、そして打倒海南高校を夢見てきたゴリは、その大事な海南戦で足首をひねって負傷してしまいます。マネージャーはすぐに病院に行って診てもらった方がいいと言いますが、ここでゴリの名言が出ます。

 

骨が折れてもいい…歩けなくなってもいい…やっとつかんだチャンスなんだ…!

 

 

このように夢をかなえるためなら痛みを抑えてでも出場したいという気持ちが出てしまうことがあるのです。そして鎮痛作用により、痛みを押し通してプレーすることが可能となり、アスリートに深刻な障害を生じてしまう可能性があるため禁止となっています。

 

鎮痛作用以外にも、呼吸器系、心血管系、消化器系、内分泌系などにも影響を与えます。そのため、呼吸抑制、便秘、悪心、嘔吐などの副作用が現れることがあります。その他にも陶酔感や多幸感が得られ、プレッシャーなどの精神的な負担から解放されるために麻薬に手を出し依存状態になってしまうおそれもあります。

 

学校薬剤師が教えてくれたように、ドーピングに関わらず大人でも麻薬ダメゼッタイということですね。

 

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注意事項

S7.麻薬という項目になっていますが、向精神薬のソセゴン(ペンタゾシン)、レペタン(ブプレノルフィン)などもS7に含まれています。これらはオピオイド受容体に対して部分作動薬として作用しますが、鎮痛効果がしっかりとえられるためこのカテゴリーに入っています。

 

コデインリン酸塩錠20mgは麻薬に含まれますが、そもそもコデインリン酸塩は禁止物質とされていません。

 

まとめ

  • S7.麻薬に含まれる薬はオピオイド受容体に作用するものが多く、痛みを押し通してプレーすることが可能となってしまうため禁止。
  • 向精神薬のソセゴン(ペンタゾシン)、レペタン(ブプレノルフィン)なども禁止となっているため注意が必要。

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