トリンテリックス(ボルチオキセチン)、うつ病のまとめ

トリンテリックス(ボルチオキセチン)、うつ病のまとめ

トリンテリックス(ボルチオキセチン)はセロトニン再取り込み阻害に加えて、各種受容体の調節も行います。抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかり、またセロトニン関連薬は投与初期に吐き気が出やすくなりますが徐々に慣れてくることが多いです。

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トリンテリックス(ボルチオキセチン)、うつ病のまとめ

由来

  • 海外ではうつ病の症状である精神症状/身体症状/認知機能の 3 面に好影響が期待できること から、3 を意味する「tri」と、優れた抗うつ薬を意味する「brilliant」、「excellent」から「rint」と 「x」を付けて命名された

 

何にもつなげられない

 

特徴

  • セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節作用を有する新規抗うつ剤。セロトニントランスポーター阻害に加えて、5-HT3受容体、5-HT7受容体及び 5-HT1D受容体のアンタゴニスト作用、 5-HT1B受容体部分アゴニスト作用、5-HT1A 受容体アゴニスト作用によって、セロトニンだけでなく、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離の調節に関与する

 

 

トリンテリックス(ボルチオキセチン)はセロトニン再取り込み阻害だけでなく、セロトニン受容体の調節も行ってその他の神経伝達物質の遊離調節も行う

 

用法用量

  • 成人には10mgを1日1回経口投与する。1日20mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行う

 

重大な副作用

  • セロトニン症候群、痙攣、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)

 

経験したこと

トリンテリックス(ボルチオキセチン)に関連してうつ病についてまとめておく。

 

うつ病の症状

うつ病はセロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足して起こり、以下のような症状がある。

 

  • 気分が落ち込む
  • 興味や喜びがなくなる
  • 死にたくなる
  • 意欲がなくなる
  • 不安やイライラ感がある
  • 物事を悲観的に考える
  • 集中できない
  • 外見や服装を気にしなくなる
  • 寝つきが悪かったり、熟睡感がない、早朝覚醒するなど
  • 食欲不振や過食
  • 疲れやすい
  • めまい
  • 頭痛、腹痛、腰痛
  • 生理不順、性欲減退
  • 動悸

 

 

これらの症状がいつまでも回復せず、日常生活に支障をきたしてしまう。うつ病の診断にはDSM-5が広く使われるが、その他にも様々なことから総合的に判断されて診断される

 

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うつ病の薬物療法

うつ病は症状、原因、特徴、重症度などをもとに治療方針が検討され、薬物療法では以下のようなものが用いられる

 

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI);投与初期に悪心などの副作用が現れることがある。パキシル(パロキセチン)、ジェイゾロフト(セルトラリン) 、レクサプロ(エスシタロプラム)、ルボックス(フルボキサミン)
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI);セロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用するため意欲を高める作用が強い。ノルアドレナリンにも作用することから副交感神経が抑えられ消化器症状や尿閉などの副作用が現れることがある。サインバルタ(デュロキセチン)、イフェクサー(ベンファラキシン)、トレドミン(ミルナシプラン)
  • ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA);抗ヒスタミン作用もあることから投与初期に眠気と食欲増進などの副作用が現れることがある。リフレックス(ミルタザピン)
  • セロトニン再取り込み阻害・受容体調節薬;セロトニン以外の神経伝達を調節して副作用が少ないと言われている。トリンテリックス(ボルチオキセチン)
  • 三環系抗うつ薬;主に重症に使われ、口渇や起立性低血圧などの副作用が現れることがある。トフラニール(イミプラミン)、アナフラニール(クロミプラミン)、ノリトレン(ノルトリプチン)、トリプタノール(アミトリプチリン)、アモキサン(アモキサピン)
  • 四環系抗うつ薬;三環系よりマイルドだが、眠気の副作用が現れることがある。テトラミド(ミアンセリン)、ルジオミール(マプロチリン)、テシプール(セチプチリン)
  • その他;効果はマイルドだが深い眠りを与える作用もある。レスリン(トラゾドン)
  • 第二世代抗精神病薬;増強的に併用されることがある。SDA、MARTA、DPAなど
  • 炭酸リチウム;抗うつ薬と併用して再発予防などに使われる。リーマス(炭酸リチウム)

 

抗うつ薬はできるだけ低用量から始めて徐々に増量していくのが基本的な使い方である。セロトニン関連薬(主にSSRI、SNRIなど)は脳内だけでなく、胃腸のセロトニンにも作用するため投与開始一週間くらいに悪心や食欲不振などが出やすいが体が慣れてくることが多いので患者に伝えることが重要。

 

また効果が出てくるまでに2〜4週間かかることがあるため効果を感じられなくても内服を継続させる指導も重要である。勝手にやめたり急激な減量をすると中断症候群が出てくる。

 

その他にも24歳以下の若年者に抗うつ薬が出る場合、中枢神経が過剰に刺激されて不安や衝動性が高まり、最悪のケースで自傷行為や自殺に至るアクチベーション症候群に注意が必要。

 

またセロトニン関連の薬(主に三環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなど)はセロトニン症候群にも注意が必要。セロトニン症候群の症状として以下のようなものがある。

 

  • 錯乱、軽躁状態、興奮
  • ミオクローヌス(自分の意思とは関係なく筋肉がビクッと動く)
  • 発汗、発熱、下痢、頻脈

 

セロトニン症候群の発症リスクを高める併用薬として、メジコン(デキストロメトルファン)やトラマール(トラマドール)など割とあるので意識したいところ(併用注意)

 

まとめ

  • トリンテリックス(ボルチオキセチン)はセロトニン再取り込み阻害に加えて、各種受容体の調節も行う
  • 抗うつ薬は効果が出てくるまで時間がかかるので、勝手な中断や減量はしてはならない。
  • セロトニン関連薬は、投与初期に吐き気が出てくることがあるが徐々に体が慣れてくることが多い。

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