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痔は思っているより多くの人がかかっている疾患で、水虫に続き、私もなったことがあります(笑)今回は痔のセルフメディケーションの対象となるOTCについて見ていきます。
痔は肛門周辺に起こる病気の総称で、出血、いぼができる、排便時痛などの症状があります。
肛門は直腸とつながり、おしりの穴から直腸に向かって、約3cmまでの管状の部分を指します。
直腸と肛門の境目に、ギザギザとした線があり、これを歯状線と呼びます。歯状線の奥に粘液を分泌する肛門腺があります。肛門腺から粘液を出すことで、便をスムーズに送り出すことができます。
また肛門周辺には、血管や筋線維などが集まった肛門クッションと呼ばれる場所があります。肛門クッションは便が漏れ出ないように肛門を閉じる蓋の役割をしています。
肛門クッションの外側には肛門括約筋が囲っていて、肛門を締めたり緩めたりして排便をコントロールする役割をしています。
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痔は大きく以下の3つにわけられます。
痔核(いぼ痔)もさらに大きく2つにわけられ、内痔核と外痔核があります。
内痔核は歯状線より上の直腸側にできるものを言います。内痔核は痛みをほとんど感じません。なぜなら、歯状線より上は粘膜でできているからです。そのため、排便時の出血で患者が気づくことが多いです。
その他にも内痔核は大きくなると、排便時に肛門の外に出てくることがあります。これを脱肛と言い、はじめは指で押し戻せたりできますが、進行すると戻せなくなります。
外痔核は歯状線より下の肛門側にできるものを言います。外痔核は痛みを感じやすいです。なぜなら先ほどの内痔核に対して、歯状線より下は皮膚でできているからです。
裂肛(切れ痔)は痔核(いぼ痔)と比べると出血量は少ないことが多いですが、排便中に鋭い痛みを感じ、その後もジーンとする鈍痛が続くことがあります。
この排便痛への恐怖心により、排便を我慢してしまい、さらに悪化してしまうという悪循環に陥ることがあるため注意が必要です。裂肛(切れ痔)が慢性化すると、炎症により肛門が狭くなり、便の太さが鉛筆くらいまで細くなってしまうことがあります。
痔ろう(あな痔)は歯状線のくぼみに便が入り込んでしまうことにより起こります。通常はこのくぼみに便が入り込みませんが、下痢により入ってしまうことがあり、免疫力が落ちていると細菌感染を防げずに炎症を起こしてしまいます。
細菌感染が起こると、肛門腺が化膿してしまいます。これを肛門周囲膿瘍と呼び、痔ろうの初期段階となります。肛門周囲膿瘍は、肛門周囲が腫れて痛みが生じ、発熱が起こることもあります。肛門周囲膿瘍の段階で切開して膿を出せれば症状は改善します。
しかし、肛門周囲膿瘍で切開せず放置してしまうと、膿は肛門周囲の皮膚までトンネルを作り、皮膚を破って外に出されます。これを痔ろう(あな痔)と呼びます。痔ろう(あな痔)まで進むと、痛みは治まりますが、トンネルの出口より膿の混じった分泌液が出てくるようになります。
痔に使われるOTCの成分には以下のようなものがあります。
痔の外用薬には、坐剤、軟膏、注入軟膏などの種類があります。基本的には以下のように痔のOTCを選択していきます。
使用方法の説明書がついていることが多いですが、使ったことがないなどと意外と患者さんから坐剤や注入軟膏の使用方法について相談をうけることが多いので、一般的な使用方法を確認します。
たまに反対にやっている患者さんがいますが、坐薬は丸い方が先端となります。
中腰の姿勢で坐剤の底を持って、坐剤の先端を肛門につけてしっかりと押し込みます。その後、手で押さえて肛門に力を入れながら立ち上がります。
腰が痛いなど、中腰の姿勢を保つのが難しければ、横に寝た状態でやるのもよいでしょう。
注入軟膏は肛門の中と外に使うことができます。
肛門内部に使う場合は、坐剤と同じように中腰の姿勢で、容器の先端を肛門に挿入して、軟膏を押し出します。
肛門外部に使う場合は、軟膏と同じように指やガーゼに出して患部に塗ります。